第174話 カレーライス

「皆ただいまー!魔道都市エテルネと同盟を結んで来たよーーー!!」

「お帰りなさい!任務お疲れ様でした!」

「無事に同盟締結出来て良かったです。てっきり桜様のことだから、何かしら起こしてくるのではと期待したのですが・・・残念です。」


 温泉街に帰ってすぐ同盟締結の報告をしにフェデリコの執務室を訪れると、リアム君とフェデリコが出迎えてくれた。


 リアム君は素直に喜んでくれたけど、フェデリコは別の期待をしていたらしい。まあ、あながち外れてはいない所が釈然としないけど、バレたら絶対からかわれる。今は触れないでおこう。


 あの後同盟締結後、魔道王にせがまれ、空飛ぶ絨毯・念話ピアス・ハンドミキサー・ジューサーを見せることになった。量産して欲しいという下心もあったので許可したけど、あんなに時間が掛かるとは正直思わなかったよ・・・。


 嬉しそうにキラキラした目で、魔道具を試しては真剣にメモを取る魔道具師達。午前中にエテルネを訪れ、昼には帰る予定だったのに、結局昼食を挟みながら夕方まで検証タイムに付き合う羽目になってしまった。


 あれだけ楽しそうに検証している姿を見ると、途中で「そろそろ帰りまーす!」と言う勇気は私にはなかった・・・。


 待ってる間あまりにも暇すぎて、コタロウとリュウと一緒にお昼寝してしまい、驚かれたのは言うまでもない。クレマンが掛けてくれたフワフワ布団のおかげで、思わず熟睡してしまったよ。


 満足した魔道具師達にお礼を言われ、見送られながら帰ってきたのはついさっき。

 いやー疲れた疲れた!待つだけって言うのも、案外疲れるものだよね!




「あっ!桜さん発見!!」

「おっ、お三方!何かあった?」


 コタロウとリュウと一緒に、疲れた体を温泉で癒やそうと向かっている途中、陽菜・大河・優斗とバッタリ出会った。

 それにしても相変わらず3人は仲が良い。幼なじみとか憧れの関係だよ。3人にはいつまでも仲良くいて欲しいな。


「桜さんに頼みがある!!!」

「桜さんのおかげでかなり良い食生活を送れてるんだけど、どうしても無性に食べたい物があって・・・。」

「「「カレーライスが食べたぁぁぁぁぁい!!!」」」


 3人の大合唱がピッタリと揃って温泉街に響き渡った。どうやら陽菜達は、温泉スキルでカレーが出せないかと頼みに来たらしい。


 私もカレーは大好き!!!今の今まで忘れていたのが不思議なくらい、無性にカレーが食べたくなってきた!!!


「私も食べたい!!!早速作りに行こう!」

「「「おぉ~~~!」」」


 4人と2匹で連れだって、料理用の温泉がある一角へと向かうと、いつもの要領でカレーのルーが湧き出る温泉を作り出す。


「くぅぅぅ~~~!この匂いは堪らないね!」

「絶対大盛りで食う!!!」

「僕も!!!」

「私も!!!」

「「俺( 僕 )達も~!」」


 久しぶりの香辛料の香りに、思わず涎が出そうになる。もちろん私も大盛りで食しますよ!ご飯も沢山炊かないとね!


 カレールーを鍋に入れ、急いで大熊亭へと転移する。こういう時転移魔法はとっても便利だよね。


 大河がお米を炊いている間に、私と陽菜と優斗でカレーに入れる野菜の準備をする。

 コタロウとリュウは良い子に座って応援中。


 野菜は茹でてからカレールーに入れ、一緒に弱火で少し煮込む。ロック鳥のお肉は皮はパリッと、中はジューシーに焼き上げる。


 ご飯が炊けたら器に盛り、野菜入りのカレーをかけた上に、パリッと焼けたロック鳥のお肉をドドンと置いたら出来上がり!


「きゃーーーー!!!美味しそう!!!」

「早く食いたい!!!」

「うぅぅぅぅ・・・。久しぶりのカレーだ・・・。嬉しい・・・。」

「何だか懐かしい匂いがする?」

「食べてみたい~!」


 陽菜と大河は大はしゃぎ。一方優斗は嬉し泣き。分かる!分かるよ!!泣くほど嬉しいよね!私も目頭が熱くなってきたよ。


「よし!食べましょう!いただきます!」

「「「「「「いただきます!」」」」」」

 いざ実食!ご飯とカレーを一緒に掬い口元へ。


 パクリ


「美味し~~~!!!これだよこれ!堪らないよ!」

 やっぱりカレーはソウルフードだね!!!カレーを掬う手が全く止まらない。


 畑で採れた野菜の甘さもしっかりと感じられる。それでいて邪魔することはなく、絶妙にカレーに合う!

 ロック鳥のお肉の油がくどくなく、カレーと混ざり合い・・・一言で言えば最高です!


 陽菜達も、コタロウとリュウも無言でひたすら食べ、どんどんお代わりをしている。このままでは私がお代わりする前になくなってしまう!


 その後私も負けじと食べ進め、気付けばカレーもご飯もすっからかんになるまで、全員がひたすら食べ続けるのだった。



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る