第142話 爆弾案件
ご飯組が食べ終わった所で、早速イアンさんとミレイユ姐さんから話を聞く事にした。皆が酔いつぶれる前に、早めに話を聞いておきたいからね!
ちなみにコタロウとリュウ、それから私の能力については、イアンさんとミレイユ姐さんにはご飯を食べてる時に説明してある。もちろん誓約も交わすことも忘れてない。クレマンが。
まずはイアンさんから。イアンさんはブランデーの入ったグラスを片手に、喉を潤しながら話し始めた。
「レオさんに大熊亭の話をしたのは、俺なんだ。あの日大熊亭が消えてから、俺の食生活は変わってしまった。何食っても美味くなくて、また桜の作った飯が食いたくて食いたくて。」
プロポーズのセリフみたいに聞こえるけど、単に餌付けされたワンコが寄って来ただけなので、全く照れない。
だから皆してニヤニヤ顔でこっちを見ないでくれるかな?
「そんな時にたまたま護衛依頼で行ったアマリア聖王国で、カティアの森に大熊亭という名の宿屋が出来たらしいって聞いてさ。ラースまで帰った後、レオさんに噂を伝えてから、すぐにラースを出る準備を始めたんだ。で、出国するタイミングが偶然レオさん一行とかぶって、一緒に大熊亭を目指す事になったというわけ。」
アマリア聖王国で聞いたんだ。フェデリコが種を蒔いたかいがあったね。
チラッとフェデリコを見ると、ドヤ顔している。はいはい、流石ですよ!
「私は、急に居なくなったヒューゴの行方を探していたの。何か事件に巻き込まれたのかと思って手掛かりを探していた時に、ヒューゴの元部下達が集団でラースを出ていく所を見たの。その時はまだピンと来てなかったんだけど、最近カティアの森に大熊亭があるという噂を聞いて、ヒューゴはそこにいる!と確信したのよ。」
幼馴染が急に居なくなったら、そりゃ心配するよね。ある意味不可抗力なんだけど、それでも突然連れ去ってしまって申し訳なかったな。
「丁度レオが、ラースを離れてカティアの森へ行くって挨拶に来たから、付いて来ちゃった!」
「ギムルさんと一緒かーい!どんだけ人が良いのよレオさん!」
思わず突っ込んでしまったよ。そんな私のツッコミに、てへっと舌を出して片目を瞑るミレイユ姐さん。美人さんは何をしても綺麗だな。
「つっても、ギムルの親っさんもミレイユも、かなり強いんだぞ?カティアの森に行くのに、強いメンバーが増えるのは大歓迎だろ。」
2人共強いの!?鍛冶師と雑貨屋店長ってだけじゃなかったの!?気になったので、2人をついつい鑑定してみる。
ギムル ( 117 )
HP 5000/MP 800
【魔法】
火魔法・土魔法
【加護】
鍛冶神の加護
【シークレット】
初代勇者のパーティーメンバー。
アレックス・アーサー・フォン・ ハルバード( 38 )
HP 1800/MP 200
【スキル】
身体強化
【加護】
戦の女神の加護
【シークレット】
旧ハルバード共和国の第2王位継承者。現在はミレイユと名乗っている。
あ"あ"あ"ぁ"ぁ"ぁ"・・・・。絶対知ってはいけない情報な気がする。ギルムさんにも驚きだけど、ミレイユ姐さんのはの極秘案件のオンパレード。
・・・うん。見なかった事にしよう。若干ヒューゴとの関係が気になりはするけど、決して足を踏み入れたりはしない!・・・多分。
「おい、桜。急に黙り込んでどうした?大丈夫か?」
心配そうに覗き込んでくるレオさん。鑑定して爆弾情報を知ってしまったとは、口が裂けても言えない。
「だ、大丈夫ですよ!皆から話も聞けた事だし、難しい話はここまでにして、再会を祝して飲みましょう!」
「おっ!良いねぇ!」
「賛成!!!」
「飲むぞーーーーー!!!」
「「「「「 おぉぉぉぉぉ!!!」」」」」
飲み会の最中、トイレに立ったついでに、ギムルさんの鍛冶屋とミレイユ姐さんの店がどうなってるのか、こっそりシューレ王国まで見に行ってみる。
ギムルさんの店の中は荒らされていて、ほとんどの武器防具は無くなっていた。素材類も壊滅的。きっと王国騎士が接収という名の略奪行為をしたんだろうな。
でも幸いにも鍛冶道具はそのままだった。これなら建物ごと温泉街まで持って行った方が、ギムルさんも鍛冶しやすいよね!
ミレイユ姐さんの店は全く荒らされていなかったので、そのまま持って行こう!
そんな訳で2人のお店を、温泉街で働く職人達のお店が並ぶ一角へと転移で持って来た。
明日の朝まで内緒にして驚かせちゃおう!ドッキリサプラーイズ!
うん。私結構酔ってるな。テンションがおかしいのが自分でも分かる。何をしてもつい笑ってしまう。久しぶりにレオさんやミレイユさん達に会えて、相当タガが外れている気がする。楽しいし、今夜くらいはまあいっか!
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