第131話 離島探索

 本日は晴天、探索日和びより也!という事で再びやって来ました離島です。

 昨日はタコを捕る事だけに集中していたから、今日はコタロウとの約束を守る為、離島内を散策して回るよ。


 離島全体が木々で覆われていて森のようになっているので、死角から魔物が飛び出してくる危険がある。

 MAPでの確認を怠らない様にしながら、安全に気を付けて散策するとしましょう。


 探索開始地点を分かりやすくする為、タコを捕まえた浜辺から中に入る事に。何となしに右手側から見て回る。


「桜ちゃん!今日は僕の背中に乗ってー!」

「なっ!?俺の背中の方が安全だ!」

「コタロウは昨日乗せたでしょー!僕だって乗って欲しいよー!」

 珍しくリュウがひっくり返ってジタバタとアピールしている。


「分かった!じゃあ順番にしよう!昨日コタロウだったから、今日はリュウお願いして良い?」

「もちろんだよー!」

「桜がそう言うなら仕方ないな。」

 嬉しそうにリュウが背中に乗せてくれる。穏便に解決出来た所で、いざ出発!


 森は自然豊かと言うより、誰の手も入ってないから草木が生え放題で若干荒れてる気がする。

 生えてる草花を鑑定してみた結果、本来なら色んなポーションの原料になるらしい。

 だけど、温泉がある私には必要ない。自然のままにしておこう。


 少し進むと、今度はシルクスパイダーの群れを発見。確かこの魔物が出す糸は、極上のシルクになるとかなんとか聞いた気がする。

 だけど、糸生成スキルを持つメルロスが居るため必要ない。襲って来ないから、そのまま放置しよう。


 また少し進むと、今度はカカオの木を見つけた。でもチョコレートの冷泉があるから必要ないかな。そのまま生やしておこう。


 普通だったら喜ぶ物で溢れているとは思うんだけど、温泉スキルや仲間のスキルで十二分。なので私には微妙に思える。


 何かもっと他に無いかな。例えばすごい武器が作れるような鉱石とか、スキルや魔法を覚えれるような本や石碑とか、レアアイテムを出してくれるダンジョンとか、日本へ送ってくれる魔法陣とか。


「さすがにその魔法陣は無理ですわ。」

「ですよねー。」

 シューレ王国以外にあの魔法陣が見つかれば、陽菜達をすぐにでも返してあげられるんだけどな。


 他にどんな物があるかな。どんな魔物がいるのかな。久しぶりに冒険をしてる感じがしてワクワクする。

 探索を続けるためリュウを促し、その場を後にしようとすると待ったが掛かった。


「無視するのは止めて欲しいですわ。」

「えっ!?」

 普通に気付かなかった。突然現れたかと思うぐらいには注意力が散漫だったらしい。MAPにはきちんと神様の印が現れている。


 亜麻色の長い髪を風になびかせた女神が、綺麗に微笑みながら私を見ている。

「すみません、少しボーッとしていたみたいです。」

「気にしていませんわ。それより桜さんにはお礼を言いたかったのですわ!」

「お礼?」

 特にこれといって女神様に感謝される事をした覚えは・・・・・もしかして?


「そのまさかですわ。改めまして離島の管理者、島の女神レイアと言いますわ。桜さんの温泉のおかげで、疲れも取れて若返・・・綺麗になりましたの!」

 今絶対若返ったって言いかけたよね!?美容液の効果だね。女神様達に知れ渡っちゃってるのかな。


「ゴホンッ。それでですね、何かお礼をさせて欲しいんですの。加護はダメとディーネに言われてしまって、困り果ててしまったのですわ。」

 確かに温泉に入った全ての神様に加護されたら、大変な事になりそうだもんね。ディーネに感謝しなくちゃ。


「それでお礼をどうしようかと悩んでいたら、丁度桜さんが来て下さったので、喜んでもらおうと色々作ってみたのですわ。」

 それは悪い事しちゃったな。ガックリと肩を落としてしまったレイア。何かごめんね?


「それなら何か武器に使えそうな鉱石は無いかな?」

「ありますわ!」

 レイアが指をバチンと鳴らす。すると目の前に虹色に輝く鉱石がニョキニョキと沢山生えてきた。


 鑑定してみた結果は【 虹晶石こうしょうせき。この世界で最上級の鉱石が無限に湧く鉱脈。 】


 最上級の鉱石が無限!?お礼としては破格すぎないかな!?

「そんな事ないですわ!あの温泉は素晴らしいですもの。また入りに行ってもよろしいですの?」

「もちろん!いつでも来てね!」

 温泉仲間が着々と増えていて、私としてはとっても嬉しい。


「そうでしたわ!先程桜さんが仰ってたダンジョンは、もうこの島にあるのですわ。」

「「ダンジョン!!!」」


 私より先にコタロウとリュウが反応した。前にカティアダンジョンに入ってから、もう随分と連れて行ってあげれてない。せっかくだし、少しダンジョン探索もしてみよう!


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