第130話 タコパ
それでは夜に開催するタコパに向け、タコを捕りに行くとしますか!
コタロウとリュウと一緒に、帝国より少し西にある離島へと転移する。
クレマン情報によるとここにタコがいるらしい。厄介な魔物として。
見た目とヌメリのせいで、今まで誰も食べた人が居ないらしい。そのせいでこの離島近海はタコが溢れているそうだ。
きちんと下処理さえすれば、すごく美味しくなるのに勿体ない!
MAPで離島全体とその近海を詳しく見てみる。離島内には人の気配はなかった。その代わり魔物は結構あちこちで確認出来た。見た事の無い魔物も多数いる。
浜近くの浅瀬は、小さな魔物の気配で溢れている。これがタコかな?
「あとで島の中を探索したい!」
「今日はもう時間が無いから、探索は厳しい・・・かな?」
「そっか・・・分かった!」
コタロウは我儘も言わずに、しょげながらも我慢している。垂れた尻尾に哀愁が漂ってる。
「その代わり、探索は明日じっくりしよう!」
「本当に!?」
「うん、約束!」
「やったー!!!」
嬉しそうにコタロウの尻尾が揺れていて可愛い。コタロウをわしゃわしゃしていると、反対側の手をリュウが鼻でツンツンしてくる。愛いやつめ。
思う存分2匹とじゃれ合った後、今日の目的のタコ捕りスタート。
といっても巣穴に餌付きの棒を突っ込んだり、釣り糸を垂らす必要はない。何故なら魔物の本能そのままに、人の姿を見つけると襲いかかって来るからただ倒すだけで良い。
「たくさん捕るぞー!」
「「おーーーー!!!」」
浜辺に行き少し海に近づくと、日本で見た姿と変わらないタコが飛び掛って来た。
「これでもくらえ!」
コタロウは風魔法を器用に使って、次々とタコの頭と足を両断していく。
「僕戦いにくいーーー!」
リュウが扱うのは雷魔法。下手に使うと味方まで感電させるため、苦戦を強いられていた。
さて私はどうしようか。普通に剣で斬るだけだとつまらない。どうせなら何か魔法を試してみたいな。
そうだ!水魔法を使って、ウォータージェットカッターみたいにしてみよう!
折りよくタコが1匹飛び掛って来た。
「チャーンス!」
ウォータージェットカッターをイメージしながら、水魔法を使って頭と足の間を狙う。するとスパッと両断してしまう。
「この魔法も使いやすいかも!切れ味も問題ないし、今日はこのまま捕って捕って撮りまくるぞーーー!」
海から飛び出してはコタロウが切り、また海から飛び出しては私が切ってと、どんどん倒していく。
そんな中、離れた位置にいるタコに向かって雷魔法を使おうとしたリュウに、タコから墨のプレゼントが。
「うわぁ!前が見えないよー!もーーー僕怒ったよーーー!!!」
「あっ!馬鹿!」
「リュウ!待って!?」
思いっきり魔法が使えずに、ずっとイライラと貯めていたストレスを発散するかの如く、リュウが広範囲に雷魔法を放った。私とコタロウがいる場所は、バッチリ範囲内。
バリバリバリバリバリ!!!!!
「「ぎゃーーーーーーーーーー!!!」」
「あっ!?ごめんなさーい!」
そんな珍事も起きたけど、モグラ叩きみたいに我先にと争いながらどんどん倒して行った結果、わずか1時間程で大量のタコが山ずみになっていた。
大漁のタコを収納し、2匹と拠点へと戻る。「夜ご飯までは自由に遊んでおいで!」
「はーーーい!ありがとー桜ちゃん!」
「あっ!おいリュウ!待てって!桜行ってくる!」
「行ってらっしゃい!気を付けてねー!」
リュウが飛び出して行った後を、慌ててコタロウが追いかける。リュウはさっきのストレスがまだ残ってるんだろう。思いっきり発散しておいで!
大熊亭の厨房へ移動し、さあ!いよいよたこ焼きの仕込みを始めよう!
タコは内蔵を取り、流水や塩でぬめりを取ったら、大きな鍋で茹でる。
茹でてる間に、野菜を切ったり、生地を作ったりと、色々忙しい。
天かすは天ぷら作った時に取ってあるので大丈夫。
後はタコが茹で上がったら、大きめの小口切りに切れば準備は万端!
タコパの前に、まずはちゃんと作れるか確認しておかないとね!
鉄板をが充分に温まったらタコ投入。その後に生地を溢れそうなくらい沢山入れたら、キャベツと天かす、青ネギをたっぷり入れる。
周りが固まってきたら、クルクル回して焼いていく。
「出来たーーーー!!!」
ソースを塗って、マヨネーズをかけたら完成だー!!!欲を言えば鰹節と青のりが欲しいけど、無いものは仕方ない。
「久しぶりのたこ焼き!いただきまーす!」
熱いのをはふはふしながら食べる。熱いけど、ソースとマヨネーズが絡んで美味しーい!口に運ぶ手が止まらないね!
「あーーー!先に食べてる!」
「ずるい!私も食べたい!」
「この匂い堪んないな!早く作ろう!」
匂いに釣られたのか、続々と皆が集まって来た。
この後は皆でクルクルたこ焼きを回したり、熱々を頬張って火傷したり、闇タコを開催して悲惨な目に合ったりと、楽しいタコパを堪能したのだった。
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