第132話 隠しダンジョン
レイアがダンジョンの入り口へと案内してくれると言うので付いて行くと、一面に広がるエメラルドグリーンの湖のあまりの美しさに思わず息を飲む。
湖面には周りに咲く草花や木々が鏡のように反射し、まるで湖の中に木々が生えてるかのよう。カメラがあれば、この絶景を撮りたかったな。
「着きましたわ。この湖の中に入口があるのですわ。」
「えっ!?湖の中!?そんなに長く息が続かないかも・・・。」
「ふふっ。ダンジョンは水中ではないので、安心するのですわ!秘密の入口があるのですわ。」
湖面に映る木々の中に、1本だけほんの少し小さな木がある。その木が映っている場所へおもむろに足を踏み入れる。
「落ちるっ!!」
とっさに転移でレイアの手を掴むも、バランスを崩した様子もなく、レイアはしっかりとその場に立っていた。
「ここが入口になっているのですわ。ここだけ本当は水がないのですけれど、幻で水があるように見せてるのですわ!」
どうやら入口付近は湖ではなく、陸続きになっている。それを魔法か何かで幻を見せて、湖が続いている様にみせてあるらしい。
「隠しダンジョン!!」
思わずテンションが上がる。未踏破とか隠しとか冒険って感じがする!良いアイテムや武器・防具も眠ってそう!
コタロウとリュウも期待に満ちた目で私を見ている。この期待を裏切らいでか!
「ダンジョン攻略するぞー!」
「「おぉぉーーー!!!」」
「怪我しないよう気を付けるのですわー!」
手を振るレイアに見送られながら、幻の水の中にある階段へと恐る恐る足を踏み出す。もちろん何があるか分からないので、リュウの背からは降りて自分の足で。
靴裏にしっかりと石段の感触を感じ、安心して降りて行く。
階段を降りると目の前には石の壁が立ち並び、迷路みたいな通路が出来ている。でも私達にはMAPがある!迷子になる事はないから安心だね!
通路の横幅はコタロウが大きくなった状態でも余裕で通れる程に広いから 、魔物との戦闘も大丈夫そう。
不意打ちを受けないように、MAPで常に注意を払う。この階は私が出会った事のない魔物しか居ないので、どんな魔物が出てくるかドキドキしながら進むと、右から1匹魔物が近付いてくる。
( コタロウ、リュウ。右から1匹来るよ。)
( 了解 !)
( はーい! )
壁の影からこっそり覗いてみると、こちらに向かって銀色の丸っとした物体が、ポヨンポヨンと弾みながら向かって来る。
何あれボール!?不思議な物体を鑑定してみると
メタルスライム
HP 50/MP 200
【スキル】
体当たり
【シークレット】
スライム種の中でもレアな存在。
メタルスライム!!!HPは低いけど、その分固くてダメージが通らなさそう。2匹の爪や牙が折れないか心配だな。
( 桜、あいつは俺にやらせて。 )
( 大丈夫?固そうだよ? )
( あれくらい余裕だよー!)
余裕なの!?自信満々なコタロウに任せてみる。念の為傷湯を持ってスタンバイ。
合流地点まで残り1mを切った時、コタロウが飛び出して行った。メタルスライムは気付いていなかったからか、驚いて固まってしまってる。
そこにコタロウが鋭い爪を振りかぶり、一気に切り裂いた。
「切れた!コタロウ凄い!」
ヨシヨシと頭を撫でながら褒めると、嬉しそうにバシンバシンと尻尾が地面を叩いている。
というか、コタロウの爪の鋭さに正直驚いた。防御力が高そうなメタルスライムの体が、紙のように切れるとか、一体どんな爪なんだろう。
「次は僕がやるからねー!」
対抗心を燃やしたリュウが、次に出会ったのは白銀色に光る体を持ったスライムだった。鑑定結果は
プラチナスライム
HP 100/MP 300
【スキル】
体当たり
【シークレット】
メタルスライムよりもレアな存在。
プラチナスライム!?何だか売ったら高そう。装飾品にも使えるかも!
( 今度は僕だからねー! )
( はいはい、分かったからやっちゃえよ! )
( 気を付けてね! )
そんなに強くなさそうだけど、何があるか分からないから念の為傷湯スタンバイ。
全く気が付いていないプラチナスライムに、後ろか静かに忍び寄り一気に爪を振り下ろす。
スッと全く何の抵抗も見えないぐらい簡単に真っ二つになってしまった。・・・君たちの爪一体何で出来てるの?
その後も出て来るのはメタルスライムとプラチナスライムばかり。私の剣でも簡単に斬れてしまうし、案外そんなに固くないのかも?
ガンガン倒して行くと、気付けば次の階層への階段に着いていた。次の階にはどんな魔物がいるのか楽しみ!
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