第115話 カフェオレ
MAPでドルム達の居場所を確認すると、丁度女湯に居る。もしかして作業中かな?
ティアニス、ハレクトとはここで別れて、女湯へ転移。
あれ?ここで合ってる?外観からして昨日とは雲泥の差だよ!?屋根まで出来てるから、雨の日でも安心だね!
「桜様!丁度終わった所だったんだ!」
「是非見て下さい!細部にまで拘りました!」
2人に促され、半ば引きずられるように中へ入る。
扉を開けると、そこはまさに別世界だった。昨日までは剥き出しの土壁に覆われ野性的な見た目だったのに、今はヒノキに似た木材で土壁を覆ってあるので、とても良い香りがする。
脱衣所には、着替えを置く棚に竹籠、座って休める椅子まで竹で作ってある。髪を乾かすのに時間がかかるから、座れるのはすごく嬉しい。
浴場の床は削った石を使った石床なので、滑りにくい。色合いは灰色っぽい石から真っ白い石まであって、それらをモザイク柄で配置してあって可愛い。
洗い場には椅子や桶まで作ってあるし、照明の魔道具も竹のフレームにガラスをはめた入れ物に入っていてとっても素敵。
「最高の出来だよ!!!ありがとう!!!ボーナス1本ずつ付けておくね!」
「「ありがとうございます!!!」」
「それでね、実は男湯も改装したので仕上げをお願いしたいんだけど・・・良いかな?」
「「お任せ下さい!」」
2人は猛スピードで走って行ってしまった。きっと明日もボーナス1本付ける事になるだろうな。
「桜ちゃ~ん、入っても良~い?」
外からニーリルの声が聞こえたので、お出迎えする為に扉を開けると、ニーリルを先頭に5人の女神達が1列に並んでいた。
「「「「桜様、本日はどうぞよろしくお願い致します。」」」」
「あのー、女神様達に堅苦しい話し方されるのは心苦しいので、普通にされて下さい。」
「「「「はい!承知しました!」」」」
若干伝わってない気もするけど、徐々に慣れてもらえば良いかな。
「どうぞ入ってー!すごく綺麗になったから見てみて!」
「「「「お邪魔します!」」」」
「きゃ~~~~!全然違~う!」
まずは脱衣所にご案内。竹で出来た棚や籠に大興奮のニーリル。初めての女神様達は落ち着かないのかソワソワしている。
「この籠には、脱いだ服を入れておいてくださいね。」
「は~~~い。」
「「「「はい!」」」」
ニーリルが服を脱いで籠に入れると、女神様達もそれに習って脱ぎだした。この光景は目に毒だね。
いよいよ浴場へご案内。ニーリル以外の女神様達は温泉初体験だ!
「お待たせしました。ゆっくりとご堪能下さい。」
扉を開けて中へと促す。浴場に入ったニーリルもそのあまりの変わり様に、言葉が出てこない程驚いていた。女神様達に至っては固まってしまった。
「桜ちゃ~ん!何だかすごいよ~!」
「ふふっ。私もとっても驚いたの。ドワーフ達が頑張ってくれたんだよ!本当に素晴らしい技術だよね!皆に各温泉の使い方の説明は任せても良い?」
「もちろ~ん。任された~。」
とっても良い笑顔で頷くニーリル。温泉をゆっくり楽しんでね!
大熊亭へ戻ると、クレマンとフェデリコ、そして商会長のローマンが食堂で紅茶を飲んでいた。
「お帰りなさいませ桜様。」
「少し相談があるんだけど、今良いかな?」
「うん、大丈夫だよ。」
フェデリコの向かいに座ると、クレマンが紅茶を出してくれる。
早速クレマンが淹れてくれた紅茶を一口飲むと、ホッと息をつく。いつ飲んでも本当に美味しい。
でも紅茶も良いけど、久しぶりに珈琲やカフェオレも飲みたいな。珈琲豆ってこの世界にもあるのかな?そもそも焙煎ってどうやるの?詳しい知識はないし、珈琲は諦めるしかないんだろうな。
・・・あれ?ちょっと待って。牛乳も作れたんだから、珈琲も温泉スキルで作れるんじゃない?もしかしてココアやチョコレートも!?何でこの可能性に今まで気付かなかったかな!?
駄目だ。可能性に気付いてしまったら、どうしても今すぐ試したい衝動に駆られる。
「ごめん!直ぐに戻るから少し待ってて!」
「かしこまりました。」
「お気を付けてー。」
居てもたってもいられず、ドリンクバーまで転移する。
土台を作り、珈琲、ココア、チョコレートを温泉スキルで作る。冷泉にするとチョコレートは固まってしまうので、全部温かい温泉で。
「やったぁ!作れたーーー!これでカフェオレが飲める!」
3種類とも沢山収納し、急いで大熊亭の厨房へ転移する。
牛乳を温めて、カップ4個にコーヒーと一緒に注げばカフェオレの完成!
「お待たせー!突然ごめんね。どうしてもカフェオレが飲みたくなって。」
3人の前にもカフェオレの入ったカップと砂糖を置く。もちろん私のカフェオレは、砂糖たっぷりの甘めにしてある。
「とりあえず飲んでみて感想を聞かせて!砂糖を入れた甘いカフェオレもお勧めだよ!」
「それでは早速一口。」
「いただきます。」
「頂戴致します。」
ゴクリ
「おーーーいーーーしーーーいーーー!!!これだよコレ!久しぶりに飲みたかったんだよーーー!!!」
「これは飲んだことのない味ですが、苦味がクセになる味ですね。美味しいです!」
「砂糖を入れると、また味わいが変わって大変美味しいです。」
「これは・・・間違いなく売れます。」
3人にも高評価で一安心。
「ちなみに牛乳を入れてないのは珈琲といってこちらです。苦味が強いから、好き嫌いが分かれるかも。あとこれはココアと言って、甘くてとっても美味しいよ。」
3人の前にブラック珈琲とココアもカップに入れて出してみる。スッキリしたい気分の時は、ブラック珈琲が美味しいんだよね。
3人とも興味津々でブラック珈琲に口をつける。
「苦っ!」
フェデリコは苦手っぽいね。見た目に反して意外とお子ちゃま舌なのね。
「ふむ。これはこれで美味しいですね。」
クレマンは流石というか、香りを楽しみながらブラック珈琲を飲む余裕がある。
「確かに人を選ぶかもしれませんが、これも一定数の需要を見込めるかと。」
ローマンは職業柄、どうしても商人目線で見ちゃうのね。
続いてココアを試飲してもらう。さっきの事があるからか、フェデリコは恐る恐る舐めている。
「あれ!?甘い!?美味いですよコレ!」
「なるほど。これは女性や子供も喜びそうな甘さですね。」
フェデリコがごくごくと一気に飲む姿を、思わず生暖かい目で見守ってしまう。隣を見るとクレマンも同じ目をしていたので、思わず笑ってしまった。
「美味い!これはうちの孫が好みそうな味・・・。是非購入したいです。」
ローマンさんが商人ではなくお客さん目線になるほど、ココアは美味しかったみたい。温泉街でも売れそうだね!
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