第113話 女湯リニューアル

 汗を流してゆっくり温泉に浸かりに来たんだけど、目の前に広がる光景に落ち着けない。

 温泉を囲む壁の出入口部分から、何故か大勢の女神様?達がこちらを覗いている。そしてその前をニーリル、ヨルア、ディーネ、エウロが両手を広げて塞いでいる。

 こんな光景を見ながらのんびり温泉に浸かれるわけがない。


「えっと・・・みんな何してるの?」

「エウロのせいなんだよ~!」

「エウロが女神達の前で自慢なんかするから!!!」

「あれほど秘密にして下さいねってお願いしたのに・・・。」

「え~!私のせいなのぉ?それよりもニーリル達が見せびらかしたのが、そもそもの原因じゃなくて?」


 あー・・・なるほど。温泉に入りたい女神様達が殺到してるのね。っていうかニーリル達見せびらかしてたの!?初耳だよ!?

 3女神達に視線を向けると、私と目を合わせないように目線を泳がせている。はい、目線での自供頂きました!


「「「「「私達も入れてーーー!」」」」」


 女神様達の悲痛な声が響いてる。でもあんなに大勢は、今の広さじゃ入れそうにないんだよね。それに毎日来られたらゆっくり寛げないし・・・。


「週に1回でも良いです!」

「グループを決めて、少人数で入ります!」

「決して迷惑はかけません!」

「「「「「だからお願ーーーい!」」」」」


 女神様達が余りに必死すぎて、少し可哀想に思えてきた。チラリとニーリル達を見ると、既に諦めた顔をしている。


「良いかな?」

「も~~~!本当桜ちゃんは優しいんだから~~~!」

 ニーリルに頭をぐりんぐりん撫でられてる。見た目に反して力強めなのね。


「ごめんな桜。あたし達のせいで・・・。」

「むしろ温泉好きな仲間が増えて嬉しいよ!だからそんな顔しないでヨルア。」

 しょんぼりと肩を落としたヨルアが子犬に見えて、思わずヨシヨシしてしまう。


「必ずルールは守らせますので、安心してくださいね!」

「ディーネありがとう。よろしくね!」

 両手を拳にして、気合十分なディーネ。安心して任せられるよ。


「私は~温泉を堪能させてもらうわぁ~。」

「「「 エウロも手伝いなさい! 」」」

「・・・はぁ~い。」

 渋々返事してるエウロだけど、今回の事といい、何だかんだ手伝ってくれるんだろうな。

 せっかくだからこれを機に、温泉の大きさや場所を変えて使いやすい様に整えよう!


 まずは温泉を広くする為、土魔法を使って今まであった壁を壊し、新しい女湯予定地に壁を作る。

 次に今ある温泉は一旦全て消し、地面を整地する。


 だだっ広い広場が出来た!美肌・美髪の湯は広く作って、後は傷湯と状態異常回復の湯と疲労回復の湯を3分割の大きさで作れば良いかな?

 女神様達は美肌・美髪の湯に入るだろうから、傷湯達との間に大きめの間仕切り用の壁を作ろう!行き来は出来るように、隙間は開けて。


 これでどうかな?あっ!脱衣所と体や髪を洗う場所も欲しい!洗い場は両方に作った方が良いよね。

 で、洗い場にシャンプーとボディーソープ、美容液の湯を作ったら完成( 仮 )だ!

 あとはドワーフ達に、床張りや扉を付けたりと頼まなきゃ。


 うんうん!中々良い感じの温泉になるんじゃないかな?

「入浴は完成してからでも良い?」

「「「「「もちろんです!」」」」」

 よし!早速ドワーフ達に頼みに行こう!


「桜ちゃ~ん、待って~!」

「あのさ・・・シャンパンも作って欲しいな。」

「温泉に入りながら飲むシャンパンは格別なんです!」

「ごめんね!忘れてた!」

 更地にした時に消したことを、うっかり忘れてたよ。みんなが気に入ってくれてた事が、凄く嬉しい!


 美肌・美髪の湯の近くの空いたスペースに、前回作ったものと同じシャンパンの湧く冷泉を作る。

「よし、完成!今度こそドワーフ達に頼んで来るね!」

「「「待った!!!」」」

 転移しようとした瞬間、3女神達に止められた。今度は何!?


「桜ちゃ~ん、服着よ~?」

「あんた今真っ裸な事、忘れてないかい?」

「どうぞ、こちらが桜様のお洋服です。」

 私・・・裸のままだったの・・・?このまま温泉作ってたの・・・?壁消したりしたよ・・・?


「ぎゃあぁぁぁぁぁぁーーーーーー!!!」

 私の大絶叫が、カティアの森中に響き渡った。


「どうした桜!」

「桜ちゃん大丈夫!?」

 私の悲鳴を聞きつけたコタロウとリュウが、慌てて駆けつけてくれた。思わず2匹をギュッと抱きしめる。


「驚かせてごめんね・・・。急いで来てくれてありがとう。少し吃驚しただけだから大丈夫だよ!」

 コタロウとリュウに、スリスリもふもふしたおかげで、何とか落ち着いてきた。


「みんなも驚かせてごめんね!止めてくれてありがとう!」

 いやほんとに、あのまま行ってたらと思うとゾッとする。夢中になり過ぎるのも考えものだね。



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 いつもお読み頂きありがとうございます!また沢山の♡応援や☆評価を頂き、重ねてお礼申し上げます!

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 こんなに多くの方に読んで頂けるとは思っていなかったので、本当に嬉しいです!


 これからもケーキやお酒を楽しみつつ、もふもふしながらのんびり冒険していく桜のお話を書いていきたいと思いますので、楽しで頂けると嬉しいです(,,・ω・,,)


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