第110話 夢の温泉街

 新しく従業員になった皆に、労働条件や賃金についてはフェデリコが。誓約についてクレマンから説明してもらい、納得の上契約と誓約を結んだ。

 皆お酒やジュース、温泉に興味津々だったので、歓迎会も兼ねて今夜は宿舎で楽しんでもらおう!


 これで大体探してた従業員は雇えたかな。あとは皆の元で働いてくれる従業員が必要かな。足りない人員確保は、フェデリコとクレマンに任せちゃおう。


 そうだ!後でノアさんの所に行こう!あれから随分行けてなかったから、そろそろ頼んでた型が出来てるはず。

 ヘレナにお菓子作りを教えるなら、型があった方が種類が増えて色々食べられ・・・作れるもんね!



「という訳で、午後からはハンメルにこっそり行ってきます!」

「お供致します。」

「どういう訳ですか!駄目ですよ!」

「えっ!?駄目!?」

 説明端折ったから?丸投げしようとした事がバレたから?


 お昼ご飯を食べながらフェデリコとクレマンにハンメル行きを伝えたら、フェデリコからまさかの駄目出しをされた。


「コタロウ~リュウ~。あのおじさんが意地悪するんだよ~。」

「何!?そんな奴俺が倒してやる!」

「外に捨てて来るね~。」

「ちょっと待とうか!?意地悪なんてしてないよね!?」


 最近ずっと拠点の周りを警備してくれてるコタロウとリュウ。昼間は中々一緒に居られないから、もふもふが足りなくて寂しいんだよね。

 だから一緒に食べるご飯は格別に美味しい!そしてこんなやり取りがたまらなく楽しい!


「いやちょっと待って!?桜様!?楽しそうに微笑んでないで止めて下さいぃぃぃ!」




「ご、ごめんねフェデリコ。つい楽しくて。」

 私が我に返った時には、フェデリコは大熊亭から外に放り出された後だった。若干涙目になっていたのは、見なかった振りしておこう。


 楽しかったランチタイムも終わり、コタロウとリュウはまた拠点警備に戻ってしまった。これは早々に警備隊を作らねば。でも肝心のヒューゴが、まだアンナ達とダンジョンに行ったまま戻って来てない。もう少しの我慢だね。


「それで午後から何があるの?」

「桜様は今後どの様に収入を得て、どんな風に経営したいのか。ここをどんな街にしたいのかを聞いておかないと、私も動けないのですよ。」


 確かに!フェデリコにはドリンクバーや男湯の温泉は見せてるけど、女湯にある色々な温泉は知らないし見せてなかった。


「素人考えだから、もっと良い方法があったら教えてね。

 まず収入源は各種お酒やジュース、ボディーソープ、シャンプー、それと傷湯や疲労回復の湯。これらを売ったお金を財源にしたいと思ってる。」


 フェデリコとクレマンは、知らない名前の温泉が出てきても今はとりあえず聞いてくれるみたい。

 それと当然若返り効果のある美容液は封印。身内だけでこっそり使おう。


「で、この温泉街は冒険者達が疲れを取れる場所にしたいの。だから温泉宿に作った温泉は入り放題に使い放題。

 但し勝手に傷湯とかを瓶に入れても持ち出す事は禁止。もちろん勝手に持ち出すと効果は消える様にしてあるから、転売は出来ないし、ダンジョンに持ち込んでもいざという時効果がないから命に関わるけどね。」

 従業員寮の温泉も、念の為同じ仕様に変えてある。


「あとはこの街に冒険者ギルドの代わりになる組織を作りたいと思ってるの。

 カティアダンジョンを攻略しようと思うと、通常のパーティーでは攻略出来ない人達も居ると思う。だから合同パーティーを組めるようにしたり、素材が痛まない様に解体や買取をしたり出来る場所。

 ついでに言うなら兵舎の横に大規模な鍛錬場を作ったから、温泉街で怠けないように鍛える事も出来るよ!」


 クランっていうのかな?そういう組織を作って、皆で助け合ってダンジョン攻略してもらいたい。


「それと今教会を作ってもらってるんだけど、私は創造神様だけでなく火・水・風・大地・光・闇の神様も祀る予定にしてます。」


 教会が出来たら毎日感謝を伝えに行きたいな。3女神達には温泉でよく会うけど、男神には中々会えないからね。


「あとは・・・」

「まだあるのですか!?」

「えっ?うん。甘味処やエステやマッサージとか・・・」

「すみません。お願いです。一旦ここまでにさせて下さい。」

「さすが・・・・桜様でございます。」


 一気に喋りすぎたかな。でも好きに作って良いって言われてから、もう楽しくて楽しくて。ここを皆が過ごしやすい快適な拠点にしたいんだよね。



 ここまでと言われた中で、2人が知らないであろう情報について補足説明をしていく。

 シャンプーやボディーソープ等の温泉については、実物を見せながら説明する。


「桜様の計画を全て叶えようと思うと、圧倒的に人手が足らない・・・。」

「えーっと・・・少しずつで大丈夫だよ?」

「ここまで大掛かりな事を考えておられるとは想定外でした。

 しかしどこかの国へ戦争を仕掛けたり、腹黒たぬき達と腹の探り合いをするより、余程やり甲斐がある!早速策を練りましょう!」


 そう言うとブツブツと何かを呟きながら、紙にすごい勢いで何かを書いている。ここはそっとしておいた方が良さそう。


「ねえ、クレマン。フェデリコに執務室が必要な気がする。」

「そうですね、会議室や応接室等も必要かと。」

 ふむふむ。じゃあ教会が出来たらフェデリコ用の建物を、拠点の中央にある大熊亭の建っているここに作ってもらおう!

 大熊亭は転移でもう少し奥に移動させれば、今より温泉も近くなるし一石二鳥だね!


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