第103話 意外なファン

 極上のさらふわもふもふに包まれて、今朝も最高の目覚め。う~ん、もう少しこのもふもふを堪能したい。

「ははっ!桜、くずぐったいよ!」

「桜ちゃんもっとなでなでして~。」

 コタロウとリュウの極上毛並に顔を埋めてスリスリすると、2匹は笑いながら甘えてくる。幸せすぎて起きたくなくなる。


 コンコン


「おはようございます桜様。朝食の準備が出来ておりますので、食堂まで降りて来て下さい。今朝は料理長力作のパンケーキでございます。」

「「 パンケーキ!!!」」


 朝食の内容を聞いた2匹が飛び起きた。コタロウとリュウは意外な事に、パンケーキとかパンとかフワフワした食感の食べ物をかなり気に入ってる。

 クレマンめ。朝食の内容を伝えてくるとはやるな!


 朝の支度をササッと済ませて食堂へ行くと、笑顔のクレマンと料理長が待っていた。

 尻尾をブンブン振っているコタロウとリュウの目の前に、満面の笑みで料理長が山盛りパンケーキが乗ったお皿が置く。


「「 いただきまーす!」」

 余程楽しみだったのか、コタロウとリュウが凄い勢いで食べている。それを幸せそうな顔で見つめる料理長。


 昨日の歓迎会で、皆にもコタロウとリュウを紹介した。元の大きさに戻った姿で。

 フェデリコさんは興味深げに、リリーは頼もしそうに、そして強面料理長の顔は蕩けきっていた・・・。どうやらもふもふが大好きらしい。意外すぎる。

 歓迎会の間中ずっとコタロウとリュウを側で見つめながら、好物をしきりと聞かれたのは、2匹にご飯を作りたかったからなのかな?


 私も席に着き、早速料理長特性の苺ソースのかかったパンケーキを食べる。前よりもふわっふわになってる!

「料理長!!!パンケーキ前よりもふわふわで、口に入れるとフワッと溶けて・・・とっても美味しい!また腕を上げましたね!」

 サムズアップすると、料理長も嬉しそうにサムズアップ。やっぱりプロは違うな~。


「桜様、本日はどのようなご予定でしょうか?」

 クレマンが食後の紅茶を淹れてくれる。相変わらずクレマンの紅茶が1番香り豊かで美味しい。


「うーん・・・調理用の魔道具が欲しいんだけど、どこに行ったら売ってるかな?」

 生クリーム泡立てるのに、泡立て器では時間が掛かり過ぎる。電動泡立て器みたいな魔道具無いかな。

 あと冷凍庫が欲しい!アイスクリームを抱えて食べたい!


「調理用・・・というのは聞いた事がありませんが、魔道具なら魔道都市エテルネがよろしいかと。」

「魔道都市エテルネ!じゃあ今日はエテルネへ魔道具を探しに行って来るね。」


 ついでに商業ギルドで、ドワーフ達に支払う予定のお金を下ろしておこう。

 樽とか瓶とかも少なくなってるし、食材もかなり減ってるから、これらの買い出しもしたい。


 何か荷物が大量になりそうだな・・・。馬車で行く?でもヒューゴは今デスマーチでダンジョンに行ってるし・・・。クレマンにはドワーフ達の監督を任せてるし・・・。


「それなら私もご一緒してよろしいかな?古い知人がエテルネに居るから、久しぶりに会いたいと思ってね。」

「フェデリコ様が行かれるなら私も行きます!」

 いつから話を聞いていたのか、気付いたら後ろにフェデリコとカリオが立っていた。


チラッとクレマンを見ると、苦笑いしながら頷いている。という事は、連れて行っても問題ないという事だね。

「帆馬車の荷台に乗ってもらう事になると思いますけど、それでもよろしければ」

「荷台ですか!初体験です!是非行きましょう!」

 食い気味の返事に思わず笑ってしまう。本当にフェデリコさんは好奇心旺盛というか、少年みたいな人だな。


「それなら私が御者を致しますので、どうかお連れ下さい!」

 カリオさんが御者出来るのは有難いかも。

「私が手網を操る事が出来ないので、正直助かります。よろしくお願いしますね。」

 これで沢山買っても大丈夫。後で欲しい物が無いか皆にも確認しておこう。


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