第97話 大宴会

 宿舎作りに貢献してくれた全員がやっと揃った所で、早速宴会を開始すべく乾杯の音頭をとる。

「みんなー!今日は本当にお疲れ様!今夜は食べて飲んで騒ぐぞー!かんぱーい!!!」

「「「「「「「 乾杯!!! 」」」」」」」


 ゴクッゴクッゴクッぷっはぁ


 駆けつけ一杯とばかりに、一気にビールを飲み干す。働いた後のビールは格別だね!


「何だこの酒は!!!」

「冷えたエールはこんなに美味いのか!?」

「こっちの酒も飲んでみろ!かなりの上物だぞ!」

「こっちも水かと思ったら、透明な酒だ!こんな酒飲んだことない!」


 ドワーフ達は大興奮で、色んなお酒を浴びるように飲んでいる。

 たった1日で宿舎を2棟も作ってくれたんだし、今日だけは大目に見よう。明日からは酒量制限掛かりますからね?


「おいおい何だよこの料理!美味すぎる!」

「とろりと溶けたチーズが、このパンとソースに合ってるわ!」

「この薄くてパリパリした物は何だ!?手が止まらない!」

「ちょっと待って。このお肉オークの上位種のお肉なんじゃないの!?口の中で溶けてしまうわ!」


 スペシャル料理として少量だけこっそり紛れ込ませた、オークロードのステーキに気付いた冒険者がいる。一切れ金貨1枚する程高価らしい。


「これポテチだ!!!すげー久しぶりに食った!うっまい!!!」

「こんなに美味しいピザ初めて!!!」

「2人共落ち着いて食べよう。喉詰まらせるよ!」


 大河も陽菜も久しぶりのポテチとピザを夢中で食べている。それを諌める優斗の手も、かなりのスピードで口へと料理を運んでいる。

 元の世界の味を知ってる3人にここまで喜んでもらえると自信になるな。


「 桜!この肉美味い!今度見つけたらこいつもっと倒す!」

「桜ちゃんこれ全部食べて良ーい?」

「全部は駄目!」

 コタロウはオークロードのお肉にご満悦。リュウはテーブルの上に並んだ料理に目を輝かせている。可愛いけど、セリフは可愛くない。


「この日本酒というお酒、大変美味でございますな。」

「こんな透き通った酒は見たことない。口当たりがスッキリとしていて飲みやすい!」

「「・・・・・・・・・・・・・・・」」


 クレマンとヒューゴにも日本酒は好評のよう。今度お猪口を作りたいな。

 アンナとガインは約束を破った罰として、今夜は禁酒と伝えてある。ガインは分かっていてアンナを止めなかったという事で同罪です。


「なあ、桜。一口も駄目かい?」

「一口でも駄目です。むしろ一口飲んだら止まらなくなりますよ?」

「何で俺まで・・・。」

「そう思うなら、次からはアンナを止めてくださいね?」


 すっかり萎れたアンナとガインは、隣で美味しそうに日本酒を飲むクレマンとヒューゴを見ないようにご飯を食べていた。反省したようで何よりです。



 いやー、宴会が無事に始められて良かったよ。

 誓約書を冒険者達と交わしたまでは良かったけど、ディーネが温泉に入りに行った瞬間皆に詰め寄られ質問攻めに合った。


「前にちゃんと話したよ?能力を貰った時に神様達と友達になったって。誰も信じてないみたいだったけど。」

「当たり前だろ!信じられるか!この目で見た今でもまだ信じられないよ。」

 流石に目の前で見た光景ぐらいは信じて下さい。


「って事は他の神々とも友人になったというのも・・・」

「うん。もちろん本当だよ?」

「さすが桜様でございます。」

 ヒューゴが眉間に深く刻まれた皺を揉んでいる。皺が気になるのかな?

 クレマンの私への信頼感は揺るがないね。


 そして冒険者達はというと、一斉にディーネを拝んでいた。中には鼻の下を伸ばした奴も居たけど、同じパーティーの女性陣からの圧に屈していた。どこの世界も女性は強いね!


 そんなこんなで何とか皆を連れて宴会会場へ転移し、冒頭の乾杯へと漕ぎ着けたのだった。

 明日また改めてディーネには、今日のお礼したいな。何か希望がないか聞いてみようっと!

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