第95話 宿舎完成

「おらっ!!キリキリ働け!!!今日中に終わらせるぞ!」

「「「「「「 おう!!! 」」」」」」

 カティアの森の中心地では、大音量の掛け声が響いている。そう、私が連れて来たドワーフ達の声だ。


 作業中もとにかく彼らは怒鳴り合う。1人でもうるさ・・・声が大きいのに、この人数が集まると、けたたましさも半端ない。

 そしてカティアの森での大声は、魔物を呼び寄せるデスマーチ開催への狼煙となる。



 今拠点の外ではアンナ、ガイン、ヒューゴ、クレマン、陽菜、優斗、大河、それと怪我が完治した為に巻き込まれた冒険者3パーティーが絶賛戦闘中。

 コタロウとリュウは、裏手から来る魔物を相手にしている。


「うわぁぁぁ!死ぬ!マジで死ぬから!」

「いやぁぁぁぁぁ!!!」

「誰か助けてくれぇぇぇぇぇ!!!」

「これぐらいじゃ死なない!カティアダンジョンに行きたきゃ、今すぐ強くなれ!!!」


 壁の外からは、巻き込まれ冒険者達の悲鳴と絶叫と、アンナの楽しそうな笑い声が聞こえて来る。MAPで様子を見ているけど、大熊亭メンバーが彼らをサポートしてるので、悲鳴ほどの危機は無さそうかな。


 軽傷や状態異常は陽菜が初級回復魔法で、重症は傷湯で治している。これなら聖女とバレる事もないだろう。


 それにしても大河、優斗、陽菜は強くなったな~。これがデスマーチの成果か・・・。私もうかうかして居られないな。



 私はというと油を売っている訳ではなく、現場監督ともし魔物が侵入して来た時の為の護衛も兼ねてここに居る。


 この宿舎は今後従業員寮にもなる為、大浴場も作ってもらってる。当然、疲労回復効果のある温泉にしてあるよ!


 それにしてもドワーフの建築能力は本当に凄い。宿舎は2棟作る予定なんだけど、2棟とも既に完成間近。作業時間わずか3時間。

 これだけの人数が居ると、手が余るドワーフも出てくるかと思ったけど、全くの杞憂だった。


 それから更に1時間が経過し、2棟の宿舎は完成した。

 温泉街の景観を損ねないよう、宿舎の外観も旅館風。私の拙い説明で分かってもらえるか心配だったけど、絵の上手なドワーフが私のイメージをそのまま書き留めてくれたので、素晴らしい出来になっている。

 これならここで一緒に働いてくれる従業員達も満足してくれる事でしょう!


「なあなあ桜さんや、俺ら頑張ったぞ!」

「俺が担当した風呂を見てくれ!装飾までこだわったんだ!」

「いやいや、それなら俺が!」

「俺だって!」

 ドワーフ達がアピールして来る。特に今日しか働けないドワーフは必死だ。


「皆さん今日は本当にお疲れ様でした!まさか1日で2棟も完成するとは思って無かったので驚きました!本当にありがとうございます!

 今夜は宴会を開きたいと思いますので、まずは宿舎の温泉で汗を流して疲れを癒して来て下さい!当然お酒もたくさん準備してありますよ!」


「「「「「「うおぉぉぉぉ!!」」」」」」


 狂喜乱舞しながらドワーフ達は温泉へと走って行った。まだまだ元気だね!・・・温泉に入ったら一体どうなるんだろう。いや、これは考えたらいけないやつだ。


 ドワーフ達が温泉に入ってる間に、私は宴会の準備。せっかくなら宿舎のお披露目も兼ねたいし、宿舎の広い食堂を使おう!

 準備と言っても料理とお酒は収納に沢山あるから、セッティングするだけの簡単なお仕事。なのであっという間に完成です。


「そういえばデスマーチは終わったかな?」

 すっかり準備に意識が向いてて、MAPを暫く見ていなかった。


「はい、先程終わりました。こちらも無事完成したようで、何よりでございます。」

 いつの間にか側に来ていたクレマンが返事を返してくる。気配・・・ありませんでしたね。


「「 桜ちゃん!ただいま!!! 」」

「お帰りー!!!拠点を守ってくれて、ありがとね!」

 コタロウとリュウが飛び込んで来る。わしゃわしゃと撫でながら傷の有無を確認するも、かすり傷1つしてないようでホッと一安心。


「コタロウ、リュウ、それからクレマンも!温泉に入って疲れを取っておいで。今夜は宴会だよ!」

「「 やったーーー!!!」」

「では皆にもその旨伝えてから、温泉に入って参ります。」

「ありがとう。よろしくね!」


 さーて、今夜は久しぶりに遅くまで飲んで食べて騒ぐぞー!!!


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