第88話 再登録
あの後コタロウとリュウが散歩から帰って来たので、一緒にお風呂に入ってからアマリアヘ戻って来た。頭を抱える女神達を置いて。
コタロウとリュウにご飯をあげてから、私も食べに行こう。ちなみに今日の2匹のご飯は、牛丼みたいなオーク丼の大盛りです。半熟卵も付いてるよ!
美味しそうに食べ始めた2匹を部屋に残し食堂へ降りると、朝から多くのお客さんで賑わっていた。冒険者、商人、職人と、その職種は多岐にわたっている。
復興に向けて、何だか良い流れが来てるね!
昨日渡したレシピで困った事がないか確認しておきたいし、朝食を済ませたら今日は商業ギルドへ行こう。
ヒューゴは予想通りまだ起きて来ない。でも自業自得だから、今回は状態異常回復の湯はあげないよ。これあり気で毎回無茶されちゃ、たまったもんじゃ無いからね。
コタロウとリュウを迎えに行き、商業ギルドへと向かう。
ヒューゴへはエマさんに伝言を頼んである。「任せて!」と楽しげに笑うエマさんに、少しだけ不安を覚えたけど多分大丈夫だろう。
もう少しで商業ギルドへ着くという所で、扉の前に何故かイザヤさんが立っているのが見えた。誰かと待ち合わせでもしてるのかな?
私は特に約束していたわけでも無かった事を思い出し、どうしたものかと考えていると
「桜ーーーー!!!あんたが来るのを待ってたよ!!!」
私を見つけたイザヤさんに大声で呼ばれた。
イザヤさんが外で待つ程の事があったのかと慌てて走って行く。
「何かありましたか!?」
「話は私の部屋で!さあさあ、付いておいで!」
「うわわわわ!イザヤさん!?」
イザヤさんがぐいぐい背中を押して来る。これは付いて行くではなくて、連れて行かれるの間違いでは?
受付のお姉さんと目が合うも、「もう、ギルドマスターったら。」みたいな困った顔で微笑まれてしまった。もしかしていつもこんな感じですか!?
そのまま2階の奥の部屋の前まで背中を押され続けた。ここってもしかしなくてもギルド長のお部屋なのでは・・・。
「今お茶を淹れるから、座って待ってておくれ。」
「あ、はい。ありがとうございます。」
イザヤさん何だかソワソワしてる?
高級そうな紅茶と、お茶請けに早速プリンを出してくれる。うん!美味しく出来てる!
今回は後入れするタイプのカラメルソースを使ったプリンなんだけど、トロリとしたプリンに合っていて、これはこれで好きなんだよね。
「それであんなに慌てて、一体どうされたんですか?」
「どうしたもこうしたもないよ!昨日聖女像移送した連中に差し入れしたって聞いたんだが、そのパンも桜が作ったのかい?」
「そうですよ。差し入れ用に作ってきました。」
「普通のパンより柔らかかったらしいね?」
イザヤさんの目がキラリと光る。
ああ、なるほど。あのパンのレシピが欲しいって事なのかな。でも既にシューレ王国で登録してるんだよね。
「あー、あれは・・・」
「既にシューレ王国で登録してるんだろう?」
「えっ!?ご存知だったんですか!?」
確かレシピ登録者の名前は非公表のはず。
「実はたまたまシューレ王国へ行ってたうちの商人が、すごいレシピが出た!って大騒ぎしてたんだよ。実際そのレシピで作ったであろうパンも食べたらしくてさ。
その時に聞いたパンの特徴、ふわふわとした柔らかいパンっていうのが、昨日食べた連中の感想と一致したからもしやと思ってね。」
という事は、先程の質問はカマ掛けですか。さすがイザヤさんというか、私が迂闊というか。
「そこで桜に頼みがあるんだよ。シューレ王国で登録したパンのレシピを、うちでも登録してはくれないかい?」
「えっ!?そんな事出来るんですか!?」
そんな説明聞いてないよ!?
「まあ、普通はしないだろうね。自国でレシピ登録しているのに、わざわざ他国まで行かないってだけで、禁止されてるわけじゃないのさ。」
なるほど、確かにそれなら納得。
この話は私にも利があるので、即答で了承した。
イザヤさんと相談し肉の加工が大変であろうハンバーグは諦め、天然酵母とフライドポテト、ついでにハンメルで登録したマヨネーズのレシピを登録する事になった。
昼休憩を挟み、午後からはイザヤさんが集めた腕の良い料理人さん達に、午前中に登録したレシピを実演しながら教える料理教室を開催予定。
「桜ちゃんこんにちわ~。私もレシピ習いに来ちゃった~!」
料理教室の準備をしていると、とまり木の美人双子の妹エルさんが来てくれた。
「エルさん!来てくれて嬉しい!とまり木は大丈夫?」
「今日はお手伝いさんも来てくれてるし~、メニューを絞ってあるから大丈夫~!」
とまり木でふわふわパン食べられるようになるとか最高だね!
エルさんならきっと色んなアレンジをしてくれるだろうし、楽しみだな~。
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