第75話 戦利品

 大熊亭へ戻ると、予想通り皆起きて来ていた。朝食も食べ終わり、今は食後の紅茶で一服している所だった。


 話し合いより先に、まずはやらなきゃいけない事がありますよね。そう!戦利品の確認!!


「これからの事を話し合う前に、まずは戦利品の確認をしまーす!」

「「「「「「おおぉぉぉ!!!」」」」」」


 デスマーチ中は宝箱の中身をしっかり確認する事も出来ず、とりあえず収納していた為、何が入っていたのか全く把握出来ていない。


 5層を除けば全部でボスを6匹倒してるので、結構な量のお宝なはず。

 ワクワクしながらテーブルの上に出していくと、テーブルの上に小山が出来た。予想以上に多い。特にお金が。


「多いな・・・。」

「とりあえず、手分けして仕分け致しましょう。」


 ひたすら黙々とお金、装備品、魔導書、魔道具と仕分けると、それぞれに山ができた。


 まずはお金。金板50枚、白金貨100枚、金貨30枚。

 数えるのがとても大変でした。これはそれぞれに後で等分に分けて分配する。


 装備品はミスリルシルクのローブ、ミスリルの細剣、ミスリルの槍、オリハルコンの鎧、アダマンタイトの丸盾、力倍加の腕輪の全部で6個。

 ローブは陽菜、細剣はクレマン、槍はガイン、鎧はヒューゴ、丸盾は大河、腕輪はアンナへ。


 魔導書は1冊。これは中を最初に見た人しか使えなくなる可能性がある為、内容は未確認。鑑定も不可。

 優斗が欲しがったので、装備品も無かった優斗へ。


 最後に魔道具。ダンジョン内の地図と小さな小袋。

 地図はどうやら私のMAPの縮小版。地図を持ってる人間がいる階層の地図が映し出され、魔物の姿も表示されるらしい。


 そしてこの小袋・・・何と!収納魔法付きの袋でした!無限に入るわけでは無いみたいだけど、時間停止機能も付いている至高の逸品!今回のお宝で1番の大当たり!

 なので小袋は分配せず、共有で使うことになった。仕入れや魔物素材の売買で、主に使う事になるんだろうな。



「ダンジョンの宝箱ってこんなに良い物が入ってたっけ?」

「僕達が行ったのは初級ダンジョンだったからか、金貨と回復薬ぐらいしか入ってなかったよ。」

 そういえば大河達は初級ダンジョンに行って、ドラゴン倒してたね。それでも宝箱ショボ・・・良い物入ってなかったのか。


「あたしらが騎士団時代、鍛錬の為に行ったエスプリの森のダンジョンも、こんなに良い物は入ってなかったな。」

 アンナの言葉を聞いて、急にヒューゴがガタガタと震えだした。

 アレですか!?エスプリの森のダンジョンでも、死の行進的なアレがあったんですか!?


「流石魔境と言われるカティアダンジョンですな。今まで数々の魔道具を見てまいりましたが、この小袋程の価値ある魔道具を見た事ありません。」

「各国にバレたら軍事利用されるだろう。」

「軍事利用!?」


 ガインさんが怖い事を言ってきた。でもそうか。兵糧や予備の武器防具等、沢山の物資が入って運ぶのが楽。となれば、そりゃ使われちゃうよね。

 これは絶対バレたらダメなやつだ。皆にも使う時は細心の注意を払って、バレないように気を付けてもらおう。




 午後からは早速魔物素材を売りに行く。一箇所に集中して売るよりは、分散して売りに行った方が良いだろうという事で、カティアの森に隣接する国とハンメルヘ。


 アマリア聖王国へは私とヒューゴ。

 魔導都市エテルネには優斗とクレマン。

 そして前回、冒険者に私達の跡をつけさせたであろうハンメルの冒険者ギルドへはアンナ、ガイン、大河、陽菜が行く事に。


 ハンメル行きはアンナが真っ先に立候補したんだよね。

 前回跡をつけられた話をした時、アンナ相当怒ってたからな・・・。

 しかも今回お目付け役のクレマンが別働隊。ハンメルで揉め事が起こる気しかしない。

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