第70話 初めてのボス戦
第3層は岩だらけの荒野だった。この階層からは私達の戦闘訓練の為、私と大河君を前衛に、中衛に優斗君と陽菜ちゃん、その周りをアンナさん達が固める陣営になった。
出現した魔物はロックゴーレムとロック鳥。大河君の剣では斬れなかったので、私と優斗君がメインで倒した。
いつか大河君の剣も、ギムルさんに作ってもらいたいな。
第4層は湿地帯。足元がぬかるんでいて歩きにくかったので、水魔法でこの階層全ての水の温度を氷点下まで下げてみる。
するとさっきまでぬかるんでいて歩きにくかった地面が歩きやすくなった。たまに滑るけど。冒険者用の滑りにくい靴を買っておいて良かった!
次の階層への階段へ向かう途中、氷像となった魔物を見つけたので鑑定してから収納する。MAPには魔物の気配が全く無いので、全部氷漬けになったのかも。
鑑定、収納、鑑定、収納・・・を繰り返した結果、階段に着く頃には50匹近い数のレインフロッグとジュエルフロッグが収納に収まった。
そう言えばさっきから皆が静かだな。寒くて喋れないのかも。次の階層の入口で、温かい紅茶を振舞おう。
階段を降りきる前に、休憩を提案する。
「第5層へ入る前に、お昼ご飯にしませんか?さっきは寒かったし、温かいご飯を出しますよ!」
「ご飯!!!」「やったー!!!」
コタロウとリュウが影から飛び出してきた。
コタロウとリュウの前に木のお皿に乗せたステーキを置くと、物凄い勢いで食べ始めた。腹ぺこだったんだね。沢山お食べ。
皆にも沢山出したいけど、階段という場所柄テーブルが作れない。なので食べやすいカツサンドと温かい紅茶を収納から出して渡す。
「温かい紅茶が染み渡る~。」
陽菜ちゃんは真っ先に紅茶を飲んでいた。やっぱり寒かったよね。
「やっぱ桜さんのカツサンド美味っ!!」
大河君は相変わらず良い食いっぷり。
「やっぱり収納便利ですね。収納袋とか作れないかな・・・。」
是非作って下さい!優斗君なら作れそうな気がする。
「あたしの知ってるダンジョン攻略って、何かこうもっと・・・。」
「色々突っ込みたい・・・けど、帰ってからにする。」
「俺は慣れた。」
「流石は桜様でございます。」
アンナさん達が何を話していたのか聞こえなかったけど、困ったような、悩ましいような複雑な顔をしてる。ご飯が足りなかったかな?
追加でそっと串焼肉をアンナさんとヒューゴさんに手渡すと、受け取りながら項垂れてしまった。何故!?
しっかりと休憩を取った後、いよいよ第5層へ。今までの階層と違い、階段を降りて直ぐに扉があった。これって・・・。
「5層でボス部屋!?」
「他のダンジョンでは10層毎と聞いておりましたが・・・。」
「やっぱりカティアダンジョンは、他のダンジョンより難易度高いな。」
何層まであるのか分からないけど、これは中々厳しそう。
とりあえずここまでの疲労を回復する為、皆に疲労回復の湯が入った瓶を配る。黄色くて少し甘くてシュワっとしていて、すごく元気が溌剌としてくる。
ボス戦は前衛にアンナさん、ガインさん、ヒューゴさん、大河君。
中衛は私と陽菜ちゃんと優斗君。護衛にコタロウとリュウ。
クレマンさんは、何かあった時の不測の事態に備えて後衛。
扉を開け中を覗いてみると、人間の体をしているけど、大きな角が生えた牛の頭がついていた。大きな斧を立てた状態で持った3mと巨大なミノタウロスが、部屋の真ん中に座っている。
「武器であの斧を受けたら一撃で壊れるな。皆避けるか、ガインを盾にしな」
「おう!」
ガインさんが良い返事をする。盾にして良いんだね。
「陽菜!入ったらまず皆に、継続して体力を回復する魔法を掛けられるかい?」
「掛けれます!」
「頼んだ!後は皆各々の判断で行けるな?」
「「「「「おー!!!」」」」」
気合いは充分!いざミノタウロス討伐へ!
部屋に入ると、ミノタウロスがこちらを睨みながら立ち上がった。
陽菜ちゃんが継続回復魔法を掛けてくれたので、準備万端。
前衛組がミノタウロスに向かって走り出す。私はミノタウロスの視界から外れる様に、右後ろ側に転移。
皆がミノタウロスに辿り着く前に、斧を持った右腕の健の辺りを、銃を撃つイメージで火の弾丸で撃ち抜く。
バァァァァンッッッ!!!
大音量が響き渡ったかと思ったら、ミノタウロスの右腕が吹き飛んでいた。イメージより威力が強い・・・。
右腕が無くなったミノタウロスは、懸命に左腕だけで反撃を試みるも、アンナさん達の戦力には歯が立たず。すぐに膝を着く事となった。
「「「「「「・・・・・・・・」」」」」」
「流石桜様でございます。」
アンナさん達は無言で首を振っている。陽菜ちゃん達は音に驚いたかな?クレマンさんは・・・ブレないな。
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