第61話 商業都市ハンメル

 ハンメルの街の少し手前、誰も人が居ない所をMAPで確認して転移する。

 人は居ないけど魔物は居るので、ついでに倒しておく。


 額に角のある兎ホーンラビットや、牙が大きく伸びた巨大な猪ワイルドボアと遭遇するが、大河君と優斗君が一瞬で倒してしまうので、出番が全くない。

 ちなみに台車を引いているヒューゴさんは参戦不可!うずうずしてるけど駄目だよ?

 暫く歩いてハンメルのへの入国門へ着いた時には、台車の上に魔物が山積みになっていた。


 ハンメルへ入国する為には、入国門を通らなければならない。

 その時に身分証を確認され、無い場合はお金を払って仮の入国証を発行してもらわなければ、入ることは出来ないらしい。その為入国審査待ちの人々が、長蛇の列となっている。


 入国者の列に並んで、MAPで周りを見てみるが、特に悪意ある人は見当たらない。よくこういう場面で起きる、輩に絡まれるといった事はないらしい。


 暫く待ってやっと私たちの番になった。やり取りはヒューゴさんにお願いしてある。

「身分証を提示して下さい。」

「身分証はこれから冒険者ギルドで作る予定なので、仮の入国証の発行をお願いしたい。」

「なるほど。それだけ大量の魔物を討伐できるなら、冒険者としてやっていけるでしょうね。冒険者ギルドはこの道をまっすぐ行くと、左手に見えてきます。頑張って下さい!」


 そう言いながら、門番さん?が仮の入国証を人数分手渡してくれた。すごく親切な門番さんだった。もっと難癖つけられたりするのだとばかり・・・。先入観は良くないね。




 門番さんに教えてもらった通り、入国門からの道をまっすぐに進む。途中沢山のお店があり気になったけど、まずは身分証と軍資金を確保したい。


 色んな物に目移りしながら歩いていると、左手に冒険者ギルドが見えた。どこの冒険者ギルドも、冒険者に分かりやすい様に外観は同じ。


 ヒューゴさんと陽菜ちゃんには、台車の所で一旦待機してもらい、扉を開けて中に入る。

 3人で受付らしき場所へ行くと、受付の綺麗なお姉さんが微笑んでくれた。大河君と優斗君を見ると、顔を赤くしている。陽菜ちゃんに外で待機してもらってて良かったかも。


「こんにちわぁ。本日のご要件は何でしょうかぁ?」

 甘ったるい喋り方をするお姉さんに、冒険者登録したい事と、外の台車に乗せてる魔物の査定・解体・買取をお願いしたい事を伝える。

「それではぁ、まず裏手の解体所までお回り下さぁい。」



 台車に戻り、全員で解体所まで移動すると、そこに熊がいた。

 いや違う。熊みたいに大柄の、頭に熊みたいな耳の付いた男の人だ。獣人さん?初めて見たかも。


「聞いてるよー。その台車の魔物の査定と解体をすれば良いんだよねー?全部買取で良いのかなー?」

 のんびりした喋り方に、ついほのぼのしてしまう。


「食べられるお肉は持ち帰りたいので、それ以外を買取お願いします!」

「了解ー。その量は時間が掛かるからー、適当に時間潰してからまたおいでー。」

「はーい。」

 私まで思わず間延びした返事をしてしまったが、熊さんは気にした様子もなく、そのまま台車を引いて奥へ入って行った。



 もう一度冒険者ギルドの受付へ行き、先に登録を済ませてしまおう。

 登録用紙に名前と得意武器、得意な魔法等、書いても差し支えない範囲の事を記入する。その後、鉄の板みたいなものに手を乗せると、カードが発行された。


 登録後、冒険者としての基本的な説明を受ける。

 ・冒険者カードはどの国でも共通。

 ・身分証になり、入国税は不要になる。

 ・冒険者カードには、口座機能もある。

 ・紛失しても、所有者以外は使えない。さっき手を置いた鉄の板で、魔力の波長を登録していたらしい。

 ・冒険者にはランクがあり、最初はFランクからスタート。

 貢献度によって、F→E→D→C→B→A→S→SSとランクが上がっていく。SSランクは10人も居ないらしい。

 ・3ヶ月依頼をこなさないと、カードは失効になる。但し、Bランク以上には当てはまらない。


 さっきの受付のお姉さんが説明してくれたんだけど、甘ったるい喋り方で微笑みながら話すので、デレっとした大河君・優斗君と、般若のような陽菜ちゃんにヒヤヒヤしながら聞いていた。

 隣の受付の、真面目そうなお姉さんにお願いすれば良かったかな。

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