第59話 ドリンクバー

 唐揚げがカラッと揚がったところで、いざ唐揚げパーティー開催です!!

 大人組は最初はビールで乾杯!ビールもやっぱり唐揚げに合う~!コカトリスの唐揚げのジューシーな油がスッキリするから、唐揚げもどんどん進んじゃう。


「何だこりゃーーー!!!」

 お代わりのお酒を取りに向かったアンナさんの叫びが聞こえた。仕舞った。説明し忘れてた。


 皆で外に出てドリンクバー状態になっている所へ行く。若干出し過ぎた気がしないでも無いけど、ちゃんと整理して並べてあるから、ごちゃごちゃはしてないはず!


「またこれは・・・全部お酒ですかな?」

「お酒じゃなくてジュースもありますよ!」

 それぞれの説明をすると、皆が思い思いの飲み物を取りに行った。


 私の2杯目はハイボール!グラスに水魔法を使って氷をいっぱい入れる。そこにウィスキーを3分の1まで入れ、炭酸水をグラスの縁に沿ってそっと入れる。最後にレモンを絞ってから、マドラー替わりの棒でくるりと1周だけ混ぜたら完成!ハイカラ!ハイカラ!


「桜が飲んでる酒、美味そうだな。」

 ガインさんが飲みたそうにしていたので、同じ物を作って渡す。

「!?これは美味い。肉の脂がサッパリする。」

 それを聞いたアンナさんとヒューゴさんも飲みたそうにしていたので、作り方を教える。毎回作ってたら、私の楽しむ時間がなくなっちゃうからね。




 皆でワイワイしていたら、MAPに見た事ない金色のマーカーが現れた。場所は女湯がある辺り。

 気になったので、皆に気付かれないように向かってみる。



 そーっと女湯を覗いてみると美肌・美髪の湯に、ニーリル、ヨルア、ディーネが浸かっていた。

「えっ!?ここで何してるの!?」

「桜ちゃんに見つかっちゃった~~~。」

「いえ、あの、これはその・・・。」

 テヘペロっとするニーリルに、焦っているディーネ。悪戯が見つかった子供みたいで、何だか面白い。


「この温泉というのが、スキルを作った時からずっと気になってたんだ。桜達が入ってるのを見て、あたしも入りたくなってさ!」

「うんうんそうなのよ~。だって~桜ちゃんがと~~~っても、プルプルのツヤツヤのサラサラになってるんだもの~!」

 女神様もやっぱり女性だね!美の探求には抜かりがない!


「もちろん何時でも大歓迎だよ!友人がこうやって遊びに来てくれるのは、すごく嬉しい・・・。」

 少し気恥ずかしくて後半小声になったけど、バッチリ聞こえたみたい。3人に微笑まれてしまった。女神の微笑みの威力は半端ないね。


 そうだ!せっかくならもっと楽しんでもらおう!

 温泉の横に土魔法でいつものように土台を作り、少し甘めのシャンパンが湧き出る冷泉を作る。

 注ぎ口からグラスにそっと注ぎ、3人に手渡す。


「まぁ!すごく良い香り!これが桜さんの世界のお酒なんですね!」

「楽しい~!シュワシュワしてる~!」

「甘くて飲みやすい!いくらでも飲めそうだ!」

 大好評で何より!甘めが好みなら、今度カクテルなんかも作りたいな!


「そうだ。桜の苗はいつ植えるんだい?」

「1度植えるともう移動できないと思うと悩ましくて・・・。時期も今でいいのか分からないし。」

「ん?いつ植えても大丈夫だよ?収納魔法使えば、植え替えも出来るし気楽に植えてみな!」


 季節とかそこまでに気しなくて大丈夫だったんだ。じゃあ早速植えちゃおっかな!

 大熊亭の隣に植えたら、大きくなったら部屋からでも見えるしね!



 女神様達にはそのまま温泉を楽しんでもらい、私は桜の苗を植えに移動する。

 ヨルアが言ってた通りに、まずは土魔法を使って土を耕す。そこに桜の苗を植える。

 近くに栄養豊富な水が湧き出る冷泉を作り、苗に優しく水をかける。


 するとみるみるうちに苗が成長し始めた。幹がぐんぐん伸びながら太くなり、枝葉も増え生い茂り、あっという間に蕾をつけたかと思うと、満開に咲き誇った。


 あまりの出来事に呆然としていると、後ろから声をかけられた。

「見事な染井吉野じゃの。」

「こんなに早く成長するとは思わなかったけど、本当に綺麗。」

「桜はこの世界を楽しんでおるかの?」

「はい!毎日ワクワクして、すごく楽しいです!」

「それは重畳。お主のおかげで、儂も少し力が戻っての。こうして少しの時間だけだが、顕現する事が出来るようになったのじゃ。感謝するぞ桜。」

「いえいえ。創造神様のおかげで毎日が楽しいので、私こそ感謝致します。」


 久しぶりに会った創造神様は、少し若返っている気がする。力が少し戻ったからかな?

 本当はもっとたくさん話したい事があったはずなのに、目の前の桜の美しさに胸がいっぱいで言葉が出ない。

 創造神様が帰るまで、そのまま並んで桜を眺めていた。

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