第58話 帰還

 その後は魔物に遭遇する事も無く、ダンジョンに到着した。一見単なる洞窟に見えるけど、一歩入ってみると中は草原だった。

 MAPを起動すると、魔物の姿を多数確認出来る。少し戦ってみたい気もするけど、準備をしっかり整えてからじゃないと危険だ!というアンナさんのアドバイス通り、今日は中には入らず帰る事になった。


 ここに来るまで緊張していたのか、陽菜ちゃん達が疲れた顔をしている。丁度お昼時なので、そのままお昼ご飯タイムへ突入!


 本日のお昼ご飯は、肉巻きお握り、卵焼きとお味噌汁と少し簡単なメニュー。外でパパっと食べられる事に重点を置きました。お弁当箱欲しい。

 お米は馴染みのないメンバーでも食べやすい様に、まずは肉巻きお握りから攻めてみます。ここから徐々にお米に慣れてもらう予定。

 お味噌汁は・・・私が飲みたかったから。


 土魔法を使ってその場に簡単なテーブルと椅子を作る。テーブルにはミレイユさんのお店で買った布を、テーブルクロスの代わりに掛ける。固めてるから土は付かないけど何となく気分的に。

 テーブルにお昼ご飯を並べていく。


「森探索ってこんな優雅に飯食えたっけ?」

「いや、干し肉齧るぐらいだろ。」

「さすが桜様でございます。」

 干し肉齧るだけとか無理!腹が減っては戦はできぬよ!戦じゃないけど。

 あとクレマンさんの根拠の無い信頼が怖いです。


 食べながら、皆が食べる姿をじっと観察してみる。いつも美味しいって言ってくれるけど、今後の為にも皆の好みの味を知っておきたい。


 陽菜ちゃん達にはもちろん大好評!

 アンナさんとガインさんは、肉巻きお握りが特に気に入ったみたい。

 クレマンさんは意外にも、お味噌汁が好きそう。

 ヒューゴさんは、やっぱり甘めの卵焼きだね。

 コタロウとリュウも肉巻きお握りを美味しそうに頬張っている。

 これならお米を使った料理も、これからどんどん出せそう!丼物が食べたいな~。



 昼ご飯を食べて一息ついた後、大熊亭まで再度探索しながら戻る。

 転移で帰る事も出来るけど、まだまだ不慣れな戦闘に慣れておきたいからね。


 帰りは大河君、優斗君、陽菜ちゃん、私がメインで戦闘し、残りのメンバーが周囲の警戒と私達のフォローに回ってくれた。

 こんな豪華なメンバーに守られながらの戦闘って・・・贅沢すぎだね。


 行きとは違い帰りに遭遇したのは、コカトリス1体、オウルベア1体だけだった。行きにアンナさん無双があったからかな。

 こうして初めての森探索が無事に終了したのでした。




「ってな訳で、今夜は唐揚げパーティーを開催します!!!」

「「「おーーーー!!!」」」

 突然の宣言にも関わらず、陽菜ちゃん、大河君、ヒューゴさんが反応してくれた。


「唐揚げ?また新しい料理か?」

 ガインさんは新しい料理に興味津々。

「大熊亭ではまだ作ってませんでしたが、お酒にとっても合うお肉料理ですよ!」

 アンナさんの目が光った。温泉があるからって無茶な飲み方をして、お酒にまた飲まれないで下さいね!


 温泉でさっぱりしてから、ガインさん、陽菜ちゃんと一緒に、唐揚げを作っていく。

 塩唐揚げ、醤油ベースの唐揚げ、にんにくをガッツリ効かせた唐揚げ。レモンも搾りやすいようにカットしておく。


 唐揚げの下準備が出来たので、揚げるのをガインさん達に任せて、私は飲み物の準備に向かう。

 ビールとコーラはあるけど、どうせなら色んな種類が飲みたい。


 唐揚げに合うお酒と言えば、やっぱりハイボール!ビール!レモンサワー!白ワインや赤ワインも美味しいよね。よし決めた!


 まずはいつもみたいに土の土台を作り、そこにウィスキー、焼酎、白ワイン、赤ワイン、炭酸水の湧き出る蛇口付きの冷泉を作る。ちゃんと劣化防止の効能も付けてある。ビールやコーラの冷泉には付け忘れてたから、作り直しておこう。


 陽菜ちゃん達用にソフトドリンクも作っておこうかな。メロンソーダ、ジンジャーエール、オレンジジュース、りんごジュース。

 これだけあれば、飲み放題パーティーも同時開催出来そうだね!



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