第43話 勝利の後は・・・
何とかレシピを死守し、ウキウキ気分でマリーさんのカウンターへ行く。
「マリーさん、こんにちわ。レシピの登録に来ました!」
「桜さん・・・ギルドマスターがごめんなさい。止めに行きたかったんですが・・・、力及ばずで本当に申し訳ないです。」
マリーさんが謝る事じゃないのに。それにマリーさんは止めに来ようとしてくれてたけど、同僚さんに止められて動けなかったのが見えてましたよ。
申し訳ない気持ちが強いのか、ずっとマリーさんの顔が曇ってるので、とりあえず話を変えよう。
「マリーさんレシピの登録をしたいのですが、併せて相談も良いですか?」
「?はい、もちろん良いですよ!」
仕事の話は気持ちが切り替わるのか、顔つきが一気に引き締まった。プロですね。
まずは現物を提出。ハンバーガーとフライドポテトのセットです。
「この中に挟まれてるお肉は、ハンバーグですか?」
「そうなんです!ハンバーグを薄く焼いた物にソースをかけて、トマトとレタスと一緒に挟んでます。挟んでるパンは柔らかいパンなので、とても食べやすいんです。」
固いパンで挟むと、この厚みは噛みきれないよね。
「今回登録したいレシピは、ハンバーガー、フライドポテト、柔らかいパンの素となる天然酵母のレシピの3つです。」
マリーさんにレシピを書いた3枚の紙を渡す。そして天然酵母を作る事が難しく、時間がかかることも伝える。
「なのでレシピを購入しても、作れない人もいるかも知れないです。」
詐欺だなんて言われたら困るし、マリーさんにも迷惑かけちゃうかもしれない。
「そういう事でしたら、こちらの天然酵母のレシピは高難度レシピとして登録させてもらってもよろしいですか?
その場合当ギルド直営店の者に作り方を伝授して頂くことになるのですが、その後はレシピ購入者への技術支援は、直営店の者が致します。技術提供料も支払わせて頂きますが、いかがでしょうか?」
そんなシステムが!それなら私が教えるのは1回で良いし、初めから難しいと分かってるから詐欺とも言われない!答えはYESしかないです。
「是非それでお願いします!」
「畏まりました。では後日当ギルド直営店のスタッフを、大熊亭まで向かわせますので、よろしくお願い致します。」
「はい!お待ちしてます!」
無事レシピを登録し、帰ろうとしたらマリーさんから待ったがかかる。
「桜さんはギルドの口座はお持ちじゃなかったですよね?もし良ければギルドへ登録し、口座を作られませんか?」
これって銀行口座みたいなものだったはず。という事は、他の場所でお金を口座から引き落とすと、そこから居場所が特定されるかも。という事はミスリードも出来そうだね。
「作りたいです!」
「ではこちらの用紙に記入をお願いします。今後レシピの購入代金等の振込先にもさせて頂きますね。今現在までのハンバーグレシピの売上は、口座にされますか?現金にされますか?」
早速売上が!登録から日数も経ってないし、そんなに多くはないだろうと思い、現金で貰うことにする。
用紙に記入し終わり、マリーさんの帰りを待っていると、奥から大きな袋を抱えたマリーさんが帰ってきた。
えっ・・・何その大きな袋。
「お待たせしました!ハンバーグレシピの売上の金貨92枚です。いやー凄い勢いで売れてるんですよ!街中のレストランや宿屋だけではなく、貴族お抱えの料理人や、商談に他国から来ている商人が買っているので、まだまだ売れますよー!」
そんなに売れてるんだ・・・。今回の新しいレシピも、すごい事になりそうな気配がする。口座作って本当に良かった。
結局マリーさんに二度手間かけさせてしまったけど、金貨70枚は口座に入れてもらう事にした。大金を持ち歩いて居たら、またいつ危ない目にあうか分からないからね。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます