第40話 近づく気配
お店の前でレオさんと別れた私は、市場に向かう。お米と調味料各種購入し、小腹がすいたので屋台街へ向かう。もちろん買った物は途中でこっそり収納。
まずはいつも買う串焼きを、屋台で3本買おう。
「おっ!今日は3本も買うのかい?随分腹空かせてたんだな!」
「そうそう、腹ぺこなの。」
屋台のおじさんと囁かなやり取りしながら、肉が焼けるのを待っていると、少し離れた所で冒険者風の人達が喧嘩を始めた。
「あーまたか。小僧!巡回呼んで来い!」
屋台のおじさんが近くに居た子供にお金を渡して頼むと、お金を受け取った子供が嬉しそうに走って行った。こうしたちょっとしたお使いは、子供達の良いお小遣い稼ぎになってるみたい。
「またって、最近多いの?」
不思議に思って尋ねると、おじさんが困った顔で話し始めた。
「ここ最近急に増えてきてんだよ。今あそこで喧嘩してる奴らは、他所から来た冒険者だな。最近ああいう輩が集められてるみたいで治安が悪化してきてる。」
「何で集められてるの?」
おじさんは周りをキョロキョロ見た後、ちょいちょいと私を手招きする。顔を近付けると、小さな声でこっそり話す。
「どうも戦争が始まるんじゃないかとの噂がある。お嬢ちゃんも巻き込まれないように気を付けてな。」
「ありがとう。おじさんも気を付けてね!」
おじさんに手を振って別れた後、屋台街の端にある椅子まで移動する。
周りに人が居ないのを確認して、コタロウとリュウにこっそりお肉をあげながら、周りを少し観察してみる。
確かに前から多くの冒険者さん達が屋台街を出入りしていたけど、何というか前より荒んだ雰囲気の冒険者が多い気がする。
やっぱりあの王様が、戦争を起こすつもりで荒くれ冒険者を集めてるのかな。陽菜ちゃん達やこの街の人達が巻き込まれるのは嫌だな。
お城を出てから1度も話せてないし、1度こっそり会いに行ってみようかな。せっかく転移も出来るようになったけど、お城まで転移出来るか試しておかないと、いざという時に出来ない可能性もあるし。
夜なら部屋で1人だよね?今夜行ってみようかな。・・・よし決めた!今夜行こう!
今夜の事をあれこれ考えていると、騎士さん達がやって来るのが見えた。
荒くれ冒険者達が連れて行かれるのを見届け、今日は夜に備えて大熊亭へ帰る事にした。
夜になるまで部屋で休んだ後、厨房へ行く。元気な天然酵母が出来たので、試作用のパン生地を仕込んでおこう。
小麦粉、砂糖、塩、お水と天然酵母液を混ぜ、纏まってきたらしばらく捏ねる。表面がつるんとしてきたので、このまま朝まで休ませておく。
明日はこの生地で丸いパンを焼いて、ハンバーガーを作るぞ!付け合せに、やっぱりフライドポテトも欲しいな。コーラが無いのは残念だけど、明日が楽しみ!
よし!明日の準備も出来た!夜も更けた!そろそろ支度をして、お城への潜入作戦開始だ!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます