第35話 忘れん坊

 ハンバーグのレシピを登録してから、数日が経った。狙い通りお客さんが分散し、忙しさも少し落ち着いてきた。

 今日は久しぶりにお休みです。


「あっ・・・そういえば貰った能力の確認するの忘れてた。」

 せっかく神様達がくれたのに、言語理解以外全く使ってなかった。今日は色々試してみよう。



 鑑定はこの前コタロウとリュウに試してみて分かってるし、今後どんどん使ってみよう。


 収納魔法って、どこにどうやってしまうんだろう。ゲームとかのアイテムボックスみたいなのかな?

 魔法は想像力が大切って二ーリルが言ってたよね。時間が止まる異空間にしまうイメージで。ベッドを収納!


「・・・・・おおおぉぉぉ!本当になくなった!次は出してみよう。」

 元の場所に出すイメージで。

「おおぉぉぉ!本当に出た!凄い!!」

 これはかなり便利な能力だね。どれくらいの物が入るか試したいけど、部屋にはあまり物がないし、機会があったら調べてみよう。


 転移魔法や属性魔法は街で試すのはリスクが高い。街の外で試した方が良いよね。

 そうだ、変身して外に出ようかな。街の外ならコタロウとリュウも、影から出て思いっきり走れる!


 まずは変身魔法を使ってみよう。どうせなら痩せてて綺麗なお姉さんが良いな。某女優さんをイメージして、変身魔法を使う。


「・・・鏡がないから分からないな。」

「「桜(ちゃん)が知らない人になった。」」

 コタロウとリュウがビックリしてる。という事はちゃんと変身出来てるって事だね。


「変身魔法を使ってみたんだよ。今日は皆で街の外に出かけてみよう!魔法も試したいし、コタロウとリュウも思いっきり走れるよ!」

「「やったーーーー!!!」」

「外に出るまでは、影の中に入っててね。」

「「はーーーい!」」

 元気よく返事をすると!コタロウもリュウも、影に入っていった。なんて良い子達なんだろう!早く出してあげるからね!



 大熊亭からこっそり出て、まずは屋台にお昼ご飯を買いに行く。収納魔法でしまえば温かいままだし、嵩張らない。一応ダミーの鞄を持って来ているので、鞄にしまうフリして収納する。便利!


 市場を抜けて東の門を出る列に並ぶ。待っている間、ボーッと入ってくる人達を見ていると、何かを門番さんに見せている。どうやら入る時に身分証が必要みたい。身分証はこの街では作らない予定だし、どうしよっかな。

 そうだ!転移があった!どれくらいの距離転移できるか試してみてだけど、長距離転移が出来そうなら、街の外から大熊亭の部屋まで転移しよう!


 私の順番が来たので門から出ようとすると、門番さんに止められる。

「お姉さん1人で街の外に出るのかい?何の装備もしてないみたいだけど、この先は魔物が出る。装備無しで1人で出るなんて、死にに行くようなもんだ。止めときな。」


 装備・・・全く考えてなかった。最悪転移で逃げられると思うんだけど、転移魔法は言う訳には行かないし・・・。ハッタリのゴリ押しで行こう。


「こう見えて私は魔法が得意なの。だから大丈夫よ坊や。心配ありがとね。」

 少し色っぽく言った後( 言えたつもり )パチリとウィンク。


「た、大変失礼しました!あ、あ、あ、あの、お気をつけて!」

 少し顔を赤くした門番さんが、吃りながら通してくれた。美人のウィンクは効果覿面だった。地顔じゃないと思うと複雑な気分。


 何とか無事に街を出ることが出来て良かった。人目につかない場所で練習したいので、とりあえず近くの森まで行ってみよう。

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