第34話 肉!肉!肉!

 無事にハンバーグのレシピを登録できたので、ガインさんと一緒に大熊亭へ帰る。マリーさんはこの後早速、何店舗かに声を掛けてくれるそう。


 大熊亭に戻ると、入口に大きな台車とイアンさんが居た。台車には大きな塊の肉が3つ。2m程の赤身の肉。1m程の脂がのった肉。同じく1m程のピンク色の肉。

 これはもう牛肉、豚肉、鶏肉ですよね?


「言われた通り肉取ってきた!これで良いか?ハンバーグ食える?」

 イアンさん予想以上に凄腕なのかも。この短時間にこんなにお肉を持ってきてくれるなんて。予想外だよ!多いよ!

「お前・・・量を考えて持って来いよ。」

 さすがにガインさんも予想外だったらしい。


「まあいい。とりあえず裏に回ってくれ。」

「了解!」

 建物の裏手には、厨房に直結する扉があるので、そこから搬入。運び入れるのはイアンさんとガインさん。

 何とか扉を潜り抜け、一旦台の上に置く。大きすぎる・・・。


 仕込みに時間がまだかかる事を伝えると、食堂でおビールを飲んで待ってるらしい。

 早速ハンバーグを仕込みますか。ちなみにガインさんは、これらの肉を使って煮込み料理を作るそう。いくら使っても減る気がしない。


 挽肉を作る前に、コタロウとリュウ用にいくらかお肉を拝借。同じ料理も食べるけど、何となく塩分とか気になってしまう。後でレアに焼いてあげよう。



 さてさてまずは挽肉作りから。せっかく牛肉と豚肉があるなら、合い挽き肉にしよう!黄金比率と言われる牛7、豚3で作る。計りがないから目分量だけど。


 私が楽しく肉を叩いていると、マリーさんが見知らぬ男女4人と共に大熊亭にやってきた。

「お邪魔しまーす。あ!丁度いいタイミング!それ挽肉作ってる所ですよね?」

「マリーさんさっきぶりです。そうです、挽肉作ってる所ですよ。」

「実はこちらの3人がハンバーグのレシピを購入されたマルコさん、エマさん、ヘンリーさんです。で、こちらが挽肉を専門で作る事になったジョンさんです。挽肉の作り方を実際に見たいという事で、お連れしました。」


 早っ!さっき話したばかりでもう!?

 皆挽肉を作る所を見たかったらしい。せっかくなので、ハンバーグになるまでを見て行ってもらう事に。


 さっきの作りかけの肉を叩き始める。ふふふふふ。いつ叩いても楽しい。

「「「・・・・・・・・・・・・」」」

「お気持ちは分かります。」

 ん?お肉叩くの楽しいよ?


「なるほど。肉を細かくする事で、食感の変わった肉になるのか。こんな発想した事なかった。何より肉を叩くのが楽しそうで良い!!」

 やったー!理解者が現れた!そこ!「解せぬ」みたいな顔やめて?何でそこにガインさんも加わってるのかな?



 ハンバーグの成形まで終わり、後は焼くだけ。まずはイアンさんの分を焼こう。沢山お肉取ってきてくれたお礼に、ハンバーグをダブルにしよう!

 1つはチーズを中に入れて焼く。もう1つは仕上げに目玉焼きを乗せて。ソースのストックは無いので、両方照り焼きソースなのはご愛嬌。


 熱々の内に急いで持って行く。

「イアンさん、お待たせしましたー!ご注文のハンバーグです。」

「待ってましたー!!」

 イアンさんは最初に、目玉焼きを乗せたハンバーグから食べた。

「うっま!!柔らか!すぐになくなる!」


 あっという間に1つ目を食べ終わり、2つ目へ突入。

「えっ!?中からチーズが出てきた!!すげぇ!こっちも美味い!!」

 結構大きめに作ったつもりだったけど、イアンさんにはまだ足りなかったかも。すごい勢いで食べていき、ものの数分で食べ終わる。


「すげー美味かった!ありがとな!!また食いに来ても良いか?肉持って来るから。」

 満足そうな笑顔のイアンさん。喜んでもらえて何よりです!


「いつでも食べに来て下さいね!今後は他のお店でもハンバーグが食べられるから、今程は混まないと思いますし。それと傷むと勿体ないから、お肉は程々で。」

 そう程々で頼みます。さすがにあの量は捌ききれません。


 イアンさんが笑顔で帰って行くのを見送ってから厨房へ戻ると、目を輝かせた7人から今のハンバーグを所望された。

 アンナさんとガインさんが何故そっちに混じってるのかな?


 仕方なく7人分のダブルハンバーグを作る。

「「「「「美味しい!!!」」」」」

 夢中で皆が食べてる間に、厨房でこっそりコタロウとリュウのお肉を焼き、部屋へ持って行く。朝からノンストップだったし、さすがに休憩したい。

「休憩してきまーす。」

「「行ってらっしゃい!」」


 部屋に戻るとすぐに、影からコタロウとリュウが飛び出してくる。

「お待たせ。お腹空いたよね。美味しいお肉焼いてきたよー!」

「「やったー!」」

 お皿に乗せた焼いたばかりの熱々のお肉を、美味しそうに食べている。眼福眼福。

 あ!骨も貰えるように頼んでおけば良かったかな。でも何に使うか聞かれると困るし難しいな。


 ご飯を食べ終わった2匹と、休憩の間のんびりスキンシップ。わしゃわしゃもふもふゴロゴロ。はぁ~幸せ~。

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