第33話 商業ギルド
今の内にアンナさん達と今後について、対策を話し合わないと。このままではまた同じ事が起きるだろうし。
「という訳でスタッフを増やしたとしても結局は、席数で上限人数は決まりますよね。仕込む数にも限界があるし。」
「今出してる200で限界だよ。席数が60、相席してもらってても、頑張って3~4回転しか席を回せない。」
「ですよね。仕込むのも200で限界です。そもそも塊肉を挽肉にするだけでもかなりの手間と重労働なので・・・。」
毎日手がパンパンです。
「商業ギルドにレシピを売るか。」
「???」
「桜が良いなら、それが現実的かな。他の店でも出すようになれば、客も分散するだろうし。」
「よく分からないですが、他のお店で出して貰えるのは良いと思います!」
著作権とかそういうのかな?難しい事はアンナさんとガインさんにお任せします!
「じゃあ早速ガインと行っておいで!」
「私もですか!?」
「桜のレシピだろ?お前が行かなくてどうする。」
2人とも当然の様に言ってくる。
私なの!?難しい手続きとかよく分からないよ!?
私の考えてる事が分かったのか、アンナさんが笑いながら説明してくれる。
「詳しい作り方は、まだガインには分からないだろう?それに手続きはそんなに難しい事じゃない。ギルドの職員がやってくれるから、桜は聞かれた事に答えたら良い。そう気負わずに行っといで!」
難しくないなら一安心。ガインさんと商業ギルドへ向かうことにした。
商業ギルドは大熊亭から市場へ向かう途中の、運河の近くにあった。冒険者ギルドよりかなり大きな建物だけど、見た目は市役所みたいなお堅い雰囲気。場違いじゃないかな私。
そんな私の気持ちとは裏腹に、ガインさんは全く気にする様子もなく入っていった。私も慌てて後を追って商業ギルドへ入る。
中も外観の予想を裏切ることなく、市役所みたいな造りをしてる。窓口が沢山並んでいて、それぞれに受付スタッフがいる。待合には椅子が並んでいて、混み合う時はここで呼ばれるまで待つみたい。
今は混んでないみたいなので、待つことなく空いてる窓口へ向かう。
「レシピの登録を頼む。」
「はーい。お兄ちゃんが登録するなんて珍しいね。」
「いや、俺じゃない。こっちの桜のレシピ。」
「ああ!あなたが噂の桜さん!初めまして。商業ギルドで受付を担当してるマリーです。いつも兄のガインがお世話になってます!」
妹!?このゆるっとふわっとした可愛らしいお嬢さんが、強面ガインさんの妹!?
「もしかしてお兄ちゃん何も言わずに連れてきたの?」
私の困惑が伝わったのか、マリーさんがジト目でガインさんを見てる。
「何を?」
「はぁ〜〜〜。桜さんこんな兄でごめんなさい。兄やアンナさんから、桜さんの料理がとっても美味しいって聞いてたんです。今日は噂の料理のレシピを登録されるんですか?」
「はい、登録をお願いします。実は・・・」
マリーさんに今日あった出来事を説明する。
「なるほど。それなら登録が済み次第、急ぎ何店舗かにこちらから打診してみましょう。そこまで人気がある料理なら、どのお店も喜んでレシピを買われると思います!」
マリーさん仕事が早い!これなら早々に解決できそう。
事前に書いておいたレシピを渡し、登録してもらう。登録したレシピを誰かが買う度に、購入代金の1割が私にキャッシュバックされるらしい。
諸々の注意事項の説明をしてくれたマリーさんが、レシピを見ながら困惑している。
「このミンチ肉って何でしょうか?」
「塊肉を包丁で叩いて、細かくしたお肉です。」
「???実物を見せてもらう事は出来ますか?」
「持って来てなくて・・・。」
「ではギルドの食堂へ行きましょう。キッチンを借りられる様に頼んでみますので。」
無事にキッチンを借りれたので、ミンチ肉を作る。いつものように両手に包丁を握り叩く、叩く、とにかく叩く。楽しい。ふふふ。
「・・・お兄ちゃん、桜さんはいつもこんな風に・・・?」
「ああ・・・初めて見た時は・・・少し恐怖を感じた。」
「お兄ちゃんが!?・・・まあ、うん。分かる気がするけど・・・。」
何やら言われてる気がするんだけど、何かおかしいかな?
我に返ったマリーさんから、嬉しい提案が。
「毎日これは大変だと思うので、レシピが売れるようなら、ミンチ肉を専門で作ってくれる肉屋を募ってみましょう。専売になるなら、かなりの利益が見込めると思うので、こちらもすぐに見つかると思いますよ!」
やったーーー!!!叩くのは楽しいけど、大量のミンチ肉を作るのは手がすごく疲れるので助かります!
これで今の状況も、あと少しで落ち着くね!
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