第29話 能力

「それでどのような能力にするか決まったのかな?」

 ゼノス様が聞いてくる。


「とりあえずほぼ決まったのかな?温泉を出すスキル・転移魔法・全属性魔法・収納魔法。あとはゼノス様が言ってた変身能力?」

 中々凄い能力ばっかりなのでは!?これ本当に大丈夫かな。扱い切れるかな。


「あら?マップが見られるスキルもあった方が良いんじゃないかしら。」

 ディーネから追加入りましたー!


「コタロウやリュウと意思疎通を図りたいなら、全言語理解もあった方が良いじゃろうな。」

 ゼノス様からも追加が・・・。多すぎない?でもコタロウとリュウとは、是非意思疎通図りたいです!


「鑑定魔法。」

 ハレクトさんや、さりげなく追加しないで下さい。何で「えっ!?」みたいな顔してるの!?


「それではそろそろ始めましょう。」

 ディーネの合図で、神々が私の周りを囲む。手のひらを私に向けた瞬間、私の体が6色の温かな光に包まれた。

 フワフワとした感覚に身を委ねていると、気持ちよくて何だか寝てしまいそう。



 しばらくすると私を包んでいた光が、全て体の中に収まった。終わったのかな?

「終わったよ~。ステータス確認してみてね~。」

 心の中でステータスオープンと念じてみる。いやだって声に出すのは、年齢的に何となく恥ずかしくて。


 國枝 桜 ( 38 )

 HP 1000/MP 10000

【魔法】

 全属性魔法・転移魔法・収納魔法・鑑定魔法・変身魔法

【スキル】

 温泉・全言語理解・マップ・状態異常無効

【加護】

 創造神の加護・火神の加護・水神の加護

 風神の加護・大地神の加護・光神の加護

 闇神の加護


 ・・・・・・ちょっと待って。加護多すぎじゃない?過保護なの!?



「この子達の体も作ってあげなきゃね~。」

 ニーリルがコタロウをモフモフしながら言う。この毛の触り心地は是非とも残して欲しいです。


「能力はどうしますか?」

 ティアニスがリュウを撫でながら聞く。

 以前病気で2匹とも死んじゃったから、絶対病気にならないようにしたいです!


「今の姿のままでは胴が長くて、この世界では珍妙さね。狼型の聖獣、フェンリルとかどうかい?」

 こんなに可愛いのに、ヨルアから見ると珍妙なの!?でもこの世界にはない姿なら仕方ないのかな・・・。


「どうせなら強い聖獣が良いな!ドラゴンとかどうだ?」

 イシュトス聞いてた?モフモフの毛は残したいんだって。却下です。


「せっかく素敵な毛色ですし、特殊個体として今の毛色を残すのはどうかしら?」

 はい!はい!!ディーネに大賛成!!!

コタロウの艶やかな茶毛と、リュウの可愛い黒白ダップルにマロ眉残して欲しいです!


「影魔法」

 ・・・ん?どういう事?ハレクトさん説明欲しいです。

「影に潜れる。」

「???」

「ああ、なるほど!桜さんの影に潜ることが出来れば、どこにでも一緒に移動出来るって事ですね!」

 ティアニスの補足でやっと納得。ハレクトは説明端折りすぎ。でもすごく便利な魔法の提案ありがとう!



 コタロウとリュウの能力も決まり、6神に体を作ってもらう。これから一緒に過ごせると思うと、嬉しすぎてジタバタしてしまう。


 私の時と同じく、コタロウとリュウが6色の光に包まれる。光が収まると、そこには茶色の輝く毛並みの大きな狼と、黒白斑のマロ眉をしたコタロウより少し小柄な狼がいた。可愛すぎる。

「終わったよ!ステータスを鑑定で確認してみな!」


 コタロウ (聖獣フェンリル 特殊個体)

 HP30000/MP2000

【魔法】

 影魔法・風魔法

【スキル】

 状態異常無効・超回復・全言語理解

【加護】

 創造神の加護・風神の加護



 リュウ (聖獣フェンリル 特殊個体)

 HP3000/MP20000

【魔法】

 影魔法・雷魔法

【スキル】

 状態異常無効・全言語理解

【加護】

 創造神の加護・水神の加護



「桜の事は俺が守る!」

「桜ちゃんにまた会えて嬉しい!大好き!」

「喋っ!?・・・うぅぅ嬉しいよぅぅぅ・・・うわあああぁぁぁん。大好き~。」

 また泣いてしまった。お恥ずかしい。でも本当に嬉しかったの。



「さあ、名残惜しいがそろそろ元の場所に送るとするかの。いつでも見守っておるからのう。」

 ゼノス様ありがとう!いつか力が戻るように祈ってます!


「(送るの私ですけどね。) 桜さん、今まで助けてあげられなくて、本当にごめんなさい。これからは桜さんのやりたいように、楽しく過ごして下さいね!」

 ディーネありがとう!のんびり自由に楽しくやってくね!


「桜ちゃんは~結構やりたいように~やってたと思うけどね~。また会おうね~!」

「友よ元気で!遊びに行くからな!」

「桜さん、お元気で!」

「桜を植える時は、あたしの土魔法を使うんだよ。きっと元気に育つからさ!」

「息災で。」

 皆力を貸してくれて、本当にありがとうございました!!!


 挨拶を終えると、コタロウとリュウが私の影に潜る。本当に潜れた!すごい!

 最後に皆に手を振ると、来た時と同じ眩い光に包まれる。さあ、孤児院の皆に何て言い訳しようかな。


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