第15話 異世界の街ラース2
集まったお金は全部で銀貨30枚と・・・銅貨はちょっと多くてここでは数えられなかった。軍資金としては十分過ぎる。
お金はちょっと重かったので、ヒューゴさんが持ってくれている。
何から食べようかな~。やっぱりお肉かな。串焼き肉を買おう。
「2コ クダサイ。」
「はいよ!お、さっきそこで歌ってた姉ちゃんか!言葉は分からなかったが、良い歌だった!何だか気持ちが浮き立ったよ。」
おじさん歌聞いてくれたんだ。嬉しいけど照れるな。
「良いもん聞かせてくれた礼だ!持ってきな。」
そう言っておじさんか串焼き肉を2本くれた。よっ、太っ腹!
「アリガトウ。ウレシイ!」
おじさんにお礼を言って、ヒューゴさんと歩き出す。
「ヒューゴサン ドウゾ。ゴエイ アリガトウ。」
ヒューゴさんに串焼き肉を1本渡すと、驚きながら受け取ってくれた。
「あ、いや、私こそいつも美味しいご飯を頂いているのに・・・ありがとうございます。」
餌付けが順調に成功していそう。ニヤリ。
次の屋台飯を物色しながら、串焼き肉をモグモグ。牛肉に似たお肉に、しっかりと塩コショウで味付けしてある。シンプルだけど、これは美味しい!
「ヒューゴサン、ニク ナニ?」
「これはモーモーという名の魔物の肉ですね。」
きっと牛に似た魔物だ。ミルク出るかな。気になるけど、調べるのは後。今は屋台飯制覇が先!
あ、シュラスコサンドっぽいやつ!
「2コ クダサイ。」
今日はヒューゴさんの分も、私が奢っちゃうよ!いつも釣らせてもらってるお詫びにね。
「は~い。あ、さっき歌ってたお姉さ~ん。素敵だったよ~。この広場で~催し物を見られるなんて~思わなかったから~、得した気分だよ~。お待ちどおさま~。これ貰ってって~。」
とってもゆったり喋る可愛い店主さんが、シュラスコサンド奢ってくれた。得しちゃったな。
「ウレシイ!アリガトウ。」
今!切実に!語彙が欲しい!
この後も何店か回ると、どのお店からもご飯を頂いてしまい、結局まだ稼いだお金を1銅貨も使ってない。
お饅頭屋さんでは、あまりの美味しさに夢中で食べてるヒューゴさんを、店主さんが生暖かい目で見ながら、お土産まで頂戴しました。やっぱり甘味が好きなんだね。
店主さん達の気持ちが嬉しくて、ついつい食べ過ぎた・・・。く、苦しい。
ただ食べるだけじゃなくて、ちゃんと情報収集もしましたよ!・・・食材の。
皆ここの隣にある市場で買ってるそうなので、市場に行ってみよう。小豆欲しい小豆。
という事でやって来ました市場です。
想像以上に沢山のお店が軒を並べている。活気に溢れてて、ワクワクして来た。
見たことない食材が沢山ある。肉や魚等の傷みやすい食材は朝一に売り切れるそう。今度は朝一に来てみよう。
暫くあちこち見て回って見てみると、小豆ともち米を発見!おはぎやお赤飯が作れる!
味噌があるってことは大豆もあるはず。黒ゴマも欲しいけどあるかな。
私がキョロキョロしながら探していると、急に前をガタイのいい強面のおじさん達に塞がれた。
「あんたさっき向こうの屋台の隅で、歌ったり踊ったりしてたやつだろ。」
これはもしかして絡まれてる!?少しワクワクしながら私が答えようとすると、ヒューゴさんが割って入ってきた。
「彼女に何か?」
あーーー!割り込み禁止!!
「あんなに楽しい歌や踊りを見たのは初めてだったから、お礼を言いたかっただけだよ。何か文句あんのか?」
あ・・・そっちですか。いやお礼とか本当照れるんで・・・。でも、ありがとう。
私は照れながら、カタコトでお礼を言う。
ヒューゴさんは誤解を謝罪する。
「俺はB級冒険者のレオってんだ。さっきから何か探してる様子だったから、お礼ついでに一緒に探してやろうかと思って声掛けたんだよ。」
多分高ランクであろう冒険者に、大豆や黒ゴマ探しを頼んでいいのだろうか・・・。ま、頼むんだけどね。
そんなわけで無事に、大豆と黒ゴマをGET出来ました!多分名前は違うんだろうけど、食材が多すぎて覚えられない。
異世界にも同じ食材があるのが不思議だけど、美味しいから気にしない。
「レオサン、タクサン サガス アリガトウ」
「おう!良いってことよ!こっちこそ良い歌聴かせてもらってありがとな。何か困った事があったら、いつでもギルド経由で連絡しな!」
おおおおお!強面だけど男前!兄貴って呼びたい!年下だと思うけど・・・。
手を振ってレオさん達と分かれ、王宮に戻る事になった。そして馬車に乗ってから、私は重大な事実に気付く。
大豆と黒ゴマをレオさん達に奢ってもらってしまった事。
そして結局軍資金に手付かずという事を。
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