第12話 トンカツと作戦会議
料理教室が終わった後、料理長を筆頭に厨房の皆に見送られながら部屋へ戻る。
周りから何だ何だと注目されて、少しだけ恥しい。けど忙しい中、見送ってくれる皆の気持ちが嬉しい。明日からも美味しいご飯を作ろう!
大河君とは厨房前で別れ、ヒューゴさん先導され部屋まで戻る。
クレマンさんがサッと紅茶を出してくれる。帰ってくる時間分かってたの!?本当に有能執事さんだ。紅茶美味し~い!
美味しい紅茶で休憩した後、レシピを書く為に紙とペンを身振り手振りでお願いしてみる。
紙と羽ペンが出てきました!おお~!人生初の羽根ペンだよ!
私が書いたレシピを翻訳して貰わないといけないけど、ご飯のために頑張ってもらおう。
伝えてある料理も一応書いておこう。
ご飯の炊き方、出汁のとり方、唐揚げ、トンカツ、煮魚、天ぷら、玉子焼き、パンケーキ。
料理長なら応用出来ると思うし、あと2日ぐらいで料理については大丈夫かな。
一気にレシピを書きグッタリしていると、ちょうど夕食の時間になった。
そうだ!今夜のご飯はトンカツだった!
私がソワソワしながら待っていると、料理長が運んできてくれた。料理長!?ええぇぇぇぇ。
私の前に料理を並べると、一歩下がって待機している。食べ終わるまでそこに居るの!?
料理の出来を見てほしいとかそんな感じかな。まぁいっか。ホカホカなうちに食べましょう。
「いただきます。」
手を合わせてから、まずはお塩でパクリ。
んーーーーー!美味しーーーーい!
お肉の旨みが塩で引き立つね。
料理長にサムズアップすると、嬉しそうに破顔している。
やっぱりプロは違うね!1度教えただけで、こんなに美味しいトンカツが作れるなんて、さすがです!
お味噌汁も、ご飯の炊き具合も最高~。これなら私の追放後も安泰だね。
残りも全力でお伝え致します!
美味しいご飯をしっかり堪能しながら完食した頃、陽菜ちゃん達がやって来た。料理長が私の部屋に居る事に驚いていたけど、美味しいトンカツのお礼を伝えている。
料理長は私の食器を持って、嬉しそうに帰って行った。スキップしそうな勢い。
・・・明日からも料理長が持ってくるとかないよね?
早く言葉を覚えて、意思疎通を図れるようにならなきゃ。
さあ、改めて作戦会議を開きましょう!
といってもまだ情報が少ないし、出来るのは大まかな今後の予定の情報共有ぐらいかな。
大前提として、3人とも戦争に従軍したく無い。なのでとりあえず3人の今後の予定は
・スキルや魔法の使い方を習い、戦い方やこの世界で生きていく方法を学ぶ。
・戦争が始まる前に国外へ脱出。
・足がつくのを避ける為、身分証はこの国では作らない。
私の予定は
・料理長達に新しい料理を伝える。
・言葉を覚える。
・情報収集をする。
・街に買い出しに行くのに着いて行って、街の様子を下見してくる。
追い出される前にどれだけ先手を取れるかだよね。明日から早速動かなきゃ。
「そうだ。桜さん出来ましたよ、日本語変換表。」
明日からの事を考えていたら、優斗君がサラリと言いながら渡してくれる。もう!?早くないですか!?
「こんなに早く作れるなんて、相当無理したんじゃない?ありがとう!とっても助かります!」
「それが僕達も日本語を意識すると、日本語で話してるって事に気がついて。」
さすが現役の賢者様と聖女様だね!
「なるほど。じゃあ今後も内緒の話は日本語を意識して話せば、情報が漏れることは無いね!」
「そうなんです!ヒューゴさんが桜さんの護衛についてるから、どうしようかと思ってたけど、日本語なら安心ですよね。」
ニヤリと笑いながら私が言うと、陽菜ちゃんが同じ様にニヤリと笑いながら言った。
陽菜ちゃんはどんな表情でも可愛いな。
「あ、ヒューゴさんは多分護衛じゃなくて、監視だと思うから一応気をつけてね。」
「えっ!?」
そんな純粋な陽菜ちゃんのままでいてね。
「やっぱりそうですか。」
優斗君はさすがに気付いてたんだね。
「桜さんを監視とか許さん!」
待て待て待て待て。ヒューゴさんに詰め寄らない。バレたらどうするの。
「監視目的だとしても、今の所はヒューゴさんのおかげで王宮内で迷子になったり、絡まれたりせずに済んでるし、食べ物で釣ったりして楽しんでるから大丈夫だよ!」
明日からの言葉の練習にも付き合ってもらう予定だしね。ふふふ。
私の言葉に3人共少しは安心できたみたい。今夜はもう遅いし解散する。
「「「おやすみなさい。」」」
クレマンさんとヒューゴさんにも下がってもらい、今夜は夜更かしして、言葉の勉強をしてから寝よう。朝一で驚かせてみせる!
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*次回からメイン言語が、日本語から異世界言語に変わります。
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