第10話 臨時作戦会議

 具合が悪くなったとかで、急遽勉強会が切り上げられた。先生の顔真っ青だったし、このまま王様に報告に行くのかな。先生も居なくなったので、このまま臨時作戦会議を開きましょう。


「桜さん、あの・・・。」

 言い淀む陽菜ちゃん。不安そうな顔も可愛いな。

「うん、王様の考えはさっきので分かったよね。今後の対策を考えたいから、私のお願いを聞いて貰えないかな?」


 3人にお願いしたい事。それは

 一、日本語変換表の作成

 二、スキル・魔法を学ぶ事

 三、今まで通りの態度で過ごす事


 一つ目は、私が自分で情報を集める為に必須。負担かけちゃうけどごめんね。


 二つ目は、基礎を学ぶにはまたと無いチャンス。脱出する為にも、知らないより知っていた方が可能性が広がる。


 三つ目は、あまり下手な態度を取ると、監禁されて脱出しにくくなるのを防ぐ為。


「私は多分数日中には追い出されると思う。だからそれまでに、情報を仕入れて、今後の対策を立てたいの。」

 私の発言に、3人が青ざめた。


「桜さんが追い出されるって・・・そんな・・・。」

 私は陽菜ちゃんをヨシヨシする。役得役得。

「王様からすると、このまま私がいると、今日みたいに余計な知識を陽菜ちゃん達に与えちゃうからね。」

「それが分かってたなら何故、あんな質問をしたんですか!?」

 優斗君がお怒りです。


「あんなに分かりやすく、情報をポロリしてくれる人いないと思って。ちょうど心理的にも追い詰められてたから、チャンスかな~と。」

「桜さん!!!」

「優斗君落ち着こう。どの道私は王宮から追い出されていただろうし、少し早まっただけ。むしろ出る前に情報を掴めた事はラッキーだったんだよ。」

「そうかもしれませんが・・・」

 優斗君がしょんぼりしてる。ヨシヨシ。

 3人の為にも、出来ることを最大限やっておかないとね!


 とりあえず3人共落ち着いてくれたので、午後からの動きを決めていく。

 優斗君と陽菜ちゃんには、日本語変換表作成。

 大河君には厨房に付いて来てもらって、通訳をしてもらう。

 夕食後に、私の部屋で再度作戦会議を開く事に決まった。




 まずは3人の為に、料理長に料理を美味しくするコツをマスターしてもらおう!

 厨房までヒューゴさんに先導してもらう。

 そう言えばいつもは元気いっぱいの大河君が、さっきからやけに静かだ。やっぱりショックだったのかな。


「桜さん、俺が強くなったら陽菜や優斗を守れるかな。」

 違った。この子はちゃんと現実を見れる子だった。


「1人じゃ駄目。皆で強くなって、お互い支え合って、守り合っていくんだよ。私も皆を守るから、私の事も守ってね。」

 少しおちゃらけてウィンクしながら言うと、大河君が笑ってくれた。


 大河君は陽菜ちゃん達より年が1つ上だから、守らなきゃって責任感が強いんだろうな。ヨシヨシ。一緒に頑張ろうね。


「桜さん、あの・・・恥ずかしいからちょっとそれは・・・」

 ヨシヨシヨシヨシ

「ヤメテクダサイ」

 ふふっ、真っ赤になって可愛いな。虐めすぎたかも。

 でもとりあえず、気持ちはリセット出来たかな。


「よし!じゃあお詫びに、今日は大河君の食べたい物を作るよ!何が食べたい?」

「トンカツ!!!」

 即答でした。おばちゃん腕によりをかけて作っちゃうよ!

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