第8話 お風呂
昨日は色んなことがありすぎて、さすがに疲れていたみたい。
ご飯を食べたあと部屋に戻って、そのまま寝てしまった。恥ずかしい。
とりあえずお風呂入りたいけど、この世界のお風呂事情はどうなのかな。
身振り手振りでクレマンさんに伝えてみると、気付いてくれたみたい。
メイドさんを呼んで何やら話すと、メイドさん(多分リリーさんと言うらしい)が案内してくれた。そして後ろに、当然のようにヒューゴさんが付いて来る。
ジトーーーーーーーーーッ
アラフォーおばちゃんだけど、それでも一応女性なので、さすがにお風呂に付いて来られるのはちょっと。
そんな気持ちを込めて見ていると、更に一歩下がって距離を取りつつ、それでも付いて来る。
まあいっか。さすがにお風呂の外での監視だろうし。
そんなやり取りをしつつ歩いていくと、目的の場所に到着。
リリーさんが立ち止まって扉を開いて私を中に入れると、付いて来ようとするヒューゴさんを押しやり、ドアを閉めて鍵をかける。
あれ?今あの人付いて入ってこようとしませんでした!?リリーさんありがとう!
そしてお風呂は・・・・・ありましたー!
湯船は木で出来ていて、何とも風情がある。
大きさは足を伸ばして1人が入るくらいだけど、十分すぎるよ。
これも先輩勇者様のおかげかな!嬉しい!
さすがに石鹸やシャンプーは無かったけど、木の実をすり潰して作った粉みたいな物で身体や髪を洗うみたい。
身振り手振りで使い方をリリーさんが教えてくれる。
ゴシゴシ・・・
意外に泡立って使えるかも!
スッキリサッパリした後、湯船に浸かる。
ふぅ~、疲れが取れる~。気持ち良い~。
お風呂から上がると、リリーさんがタオルを準備してくれていた。タオルというよりタオルサイズの手拭いかな。ありがたく使わせてもらいます。
着替えもリリーさんが準備してくれていた。サイズもバッチリなのが、何だか恥ずかしい。私ぽっちゃりしてるのに、よくサイズが分かったね。恥ずかしい。
私が着替え終わると、脱衣所の奥にテーブルと椅子がある所まで連れていかれる。
椅子に座ると、サッと出てくる冷たい紅茶。どこから出したの?
ありがたく紅茶を飲んでいると、リリーさんが何やら呟いている。呪文?魔法かな。異世界ファンタジーだね!
そして私の髪に向けて手をかざすと温かい風が吹いてきた。
これはもしかしてドライヤー!?髪を乾かしてくれてるんだ。
凄い!魔法って便利だな~。
風呂場から出ると、扉の横にヒューゴさんが立っていた。すごく不服そうな顔してる。
いやいやいやいや、女性の風呂場に付いて来るのは有り得ませんから。
思わず私も不服そうな顔を作って、ジトっとヒューゴさんを見る。あ、怯んだ。
そんな私とヒューゴさんのやり取りに、リリーさんが目を逸らして肩を震わせてる。思いっきり笑ってくれて良いんですよ?
リリーさんとはここで別れて、私の部屋まではヒューゴさんが先導してくれる。
部屋までの道筋は覚えられそうにないから、連れて行ってもらえるのは正直助かるけど、毎回風呂場で押し問答はめんどくさいな。
部屋に戻ると、朝食が準備されていた。そして何故か料理長がいる。
「※※※※※※、※※※※※※※※※※※※※※※※。」
私が不思議そうにしていたからか、一生懸命身振り手振りで伝えてくれてるんだけど・・・。うん、分かりません。
とりあえずニコリと笑って椅子に座る。せっかくの朝食が冷める前に食べたい。
メニューはパン、野菜スープ、サラダと目玉焼き。デザートにフルーツ。
この世界の人には、目玉焼きはマストなのかな。
「いただきます。」
手を合わせてから、まずはスープをゴクリ。
んー・・・野菜の旨味は出てるんだけど、味付けは塩のみで惜しい感じ。
パンは・・・固い。噛みきれないかも。行儀良くないけど、スープに浸してからじゃないと無理。
サラダと目玉焼きは、まあ美味しいよね。
そしてフルーツは、桃に似た感じかな?食感が桃より少し固めだけど、甘くて瑞々しくて美味しい!
総合評価としては・・・惜しいの一言。
素材の味は良いんだけどな~。
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