第7話 本物の日本食

 さて、何作ろうかな。

 美味しい白米が食べたいから、ご飯を炊いておこう。あとは味噌汁と、食べ盛りの子達の為に唐揚げかな。

 材料は・・・うん、ありそう。

 調味料も・・・うん、ほとんど日本の物と変わらないし、これなら作れそう!


 まずはお米を洗って、少し水に浸してから炊く。


 お味噌汁は出汁取りから。何が良いかな。

 えっ!?これは煮干し!?カタクチイワシじゃないかもしれないけど、しっかり水分も抜けていて使えそう!昆布もあったらもっと良かったけど、今日はとりあえず煮干しだけで。

 出汁が取れたら白ネギっぽい野菜と何かのキノコを入れて煮て、味噌を溶いて味見。

 うん!美味しい!


 あとは唐揚げ。

 ニンニクと生姜はすりおろしたいけど、おろし金がない。とりあえずみじん切りにした後包丁で潰して、また刻んでを繰り返して・・・。よし!これくらいで良いかな。

 醤油とお酒と卵を混ぜたものに、1口大に切った、鶏肉っぽい何かのお肉を揉み込む。本当はここで浸け置きしたいけど、時間が無いから今回は割愛。

 小麦粉と片栗粉っぽい物を合わせたものに、お肉を付けて、適温に熱した油へ投入。


 ジュー・・・・・・・・ジュワジュワ・・・・・・・パチパチ・・・・


 音が変わって来た。試しに1個取り出して、フーフー・・・パクッ


「美味しーい!!」


 しっかり火も入って外はカリカリ、中からは肉汁がジュワッと。

 残りの唐揚げの油を切ったら、サラダと一緒にお皿に盛り完成!


 お茶碗はないからご飯はお皿に、味噌汁椀はないからお味噌汁はスープカップに装う。お箸もないからフォークで食べよう。


 優斗君達を呼んできて貰っている間に、隣の従業員食堂へと運ぶ。

 ゾロゾロ後ろに人が付いて来る気配。もう完成したので、見張りは結構ですよ。



 3人が走って来た。お腹空いてたんだね。

「冷めないうちに召し上がれ。」

「「「いただきます!!!」」」


 3人共唐揚げからパクリ。


「「美味しい!!!」」

「美味い!!!」


 良かった良かった。調味料や素材が、そんなに日本の物と違わなかったおかげだね。

 はぁ~、やっぱり白米と味噌汁は最高だね。


「※※※※※※※※!※※※※※※※※※※※※※※※※!!」

「※※※※※※※※※※※※※!」

「※※※※※※、※※※※※※※※※※※※※※!!!」


 私達が一心不乱に食べていると、ルイスさんやクレマンさん、料理長が何やら叫んでいる。どうやら食べたいらしい。

 全部多めに作ってあるけど、さすがにこの人数分はないかな。

 あ、3人が慌ててお代わりした。うんうん、沢山お食べ。


 そんな訳で、残りを希望者(全員)で分けて食べてもらう。ヒューゴさんも食べるなんて意外だな。

 1人1口ずつしか無さそうだけど、味見にはなるか。


 パクリ


「「「「「※※※※※※※※※※※!!!」」」」」


 全員が叫ぶと大音量になるから止めようね。

 必死に何かを訴えかけてる料理長、放心状態のルイスさんとクレマンさん、驚きに満ちた顔で私を見ているヒューゴさん、叫び続けている料理人さん達。

 それを「分かるよー。」みたいな表情でうんうん頷く3人。


 日本ではありふれた物を作っただけなのにこの反応。この世界の料理を知るのが若干怖いな。

 ところでヒューゴさん、そんなに見られても、お代わりはありませんよ。


 皆の羨ましそうな視線をスルーし完食!

「「「「ご馳走様でした!」」」」

 明日の朝食は日本食ではなく、この世界のメニューでとりあえずお願いしてみよう。

美味しい朝食でありますように。

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