第5話 日本のイメージとは
明日からの予定を話し終えた後、夕食の準備とかで3人はメイドさん達に連れていかれた。どうやら王様御一家との晩餐会に強制参加らしく、今から磨かれたり着飾られたりするらしい。
私はというと、もちろん呼ばれていません!
まあそうだよね。王様からしたらステータスもない、呼んでもいない、穀潰しの一般人と思ってるだろうし。
私からしたらそんな身勝手な人達が集まる堅苦しい夕食なんて、食べた気もしないだろうし、むしろ願ったり叶ったり。
今夜のメニューは何かな何かな~。とっても楽しみ。
夕食までの間に、私に割り当てられた部屋まで執事さんに案内してもらう。セバスチャンって呼んでみたい。
長い廊下にたくさんの扉が並んでいる。その内の1つの扉の前で止まると、優雅に一礼し、扉を開けてくれるセバスチャン。
「※※※※※※※※※※※※※※※。」
言葉は分からないけど、多分この部屋って事かな。
「ありがとうございます。」
割り当てられたその部屋は、畳が敷かれた12畳くらいの広めの部屋に、何故か洋風のベッドとテーブルと椅子が置かれ、窓には可愛い花柄のカーテン。
そして当然のように畳に土足で・・・
「あああああああああぁぁぁぁぁ・・・」
思わず崩れ落ちた私に、案内してくれたセバスチャンが驚いている。
いくら異世界っていっても、畳に土足で上がれないよ。
私は靴を脱いで部屋の隅に、靴底が付かないようにそっと置く。
この間違った日本のイメージ、嫌な予感がヒシヒシとする。
靴下で畳に上がった私に驚いただろうに、何も言わずにテーブルまで案内すると、セバスチャンが紅茶を入れてくれた。
とても良い香りで落ち着く。
コンコン
部屋の扉をノックし、アレンさんが見知らぬ騎士さんと一緒に入ってきた。やっぱり土足なんだね。
一瞬セバスチャンの視線を感じたけど、大丈夫!もう叫ばないよ!
「桜※※※※※※※※。※※※※※ヒューゴ※※※※※※※。※※※※※※※※※※※※※※※※。」
うん、分からないけど、このシルバーグレーの髪色をした強面な騎士さんの名前が、多分ヒューゴさんっていうのかな。
「初めまして、國枝 桜です。よろしくお願いします。」
ペコリとお辞儀をすると、ヒューゴさんもぎこち無いお辞儀をしてくれた。慣れないお辞儀をする強面騎士さん。ふふっ、可愛い。
アレンさんが何やら色々私に説明して、笑顔で去って行った。説明が全く分からなかった。
そして何故かヒューゴさんが扉の前にまだ立っている。
もしかして私の見張り役って事か。そんなに警戒しなくても、一般人の私には何も出来ませんよ。
とりあえず立ちっぱなしは辛いだろうと、余ってる椅子をヒューゴさんの隣に置いてみた。
あ、戸惑ってる。けど座らないかー。
まあ、疲れたら使ってくれるかもしれないし、そのまま置いておこう。
コンコン
再びの来客。
ヒューゴさんが扉を開けると、着飾られた優斗君がいた。フリフリ付いてるね。そして部屋を見てやっぱり驚いてる。
「桜さんお邪魔します。僕の準備は終わったので、困ってる事があったら手伝えるかと思って来てみたのですが・・・何ていうか個性的な部屋ですね。」
「私の趣味の様に言わないでぇぇぇ。違うのよぉぉぉ。初めからこの内装だったんだからね!!!」
私の嘆きっぷりに、優斗君堪えきれずに吹き出した。きっと陽菜ちゃんや大河君にも笑われちゃうんだろうな。
一頻り笑った後、優斗君も靴を脱いで畳に上がってくれる。
そのままセバスチャンが入れてくれた紅茶を一緒に飲んで一息ついた後、ヒューゴさんの事を説明する。
「やっぱり言葉が話せないと不便だね。優斗君にも負担かけちゃってごめんね。」
「これくらい大丈夫ですよ。同郷の仲間なんですから、気にせず頼って下さい。」
優斗君本当に良い子だな。お言葉に甘えて頼らせてもらいます。
ヒューゴさんに説明してもらった結果、彼は私の護衛騎士との事。護衛という名の見張りだとは思うけどね。
セバスチャンも私の担当の執事さんで、本名はクレマンさん。
2人は休憩以外は、ずっとこの部屋で待機らしい。これは中々息が詰まりそう。
優斗君は晩餐会の時間になったと、迎えに来たルイスさんに引きずられて行った。
やっぱり晩餐会とか嫌だよね。私のご飯もそろそろかな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます