第4話 今後について

 絶品ケーキで一息つけたので、いよいよ今後についての話し合いをしよう。でもその前に、どうしても確認したい事があるんだよね。


 一、異世界から地球へ帰還できるのか

 二、3人はこれからどうしたいのか

 三、この世界の食事事情


 この3つはどうしても先に確認したい。

 正直私は帰れても帰れなくても、どっちでも良いんだよね。家族もいないし、大切だった愛犬も亡くして孤独だった。

 もちろん友達はいたし、仕事もやりがいあって好きだったけど、異世界を冒険してみたいワクワク感の方が大きい。


 でも陽菜ちゃん達はまだ高校生。家族もいるだろうし、これからやりたい事とかたくさんあるかもしれない。

 それに多分何かと戦わされるんだと思うんだよね。じゃなきゃ勇者召喚なんてしないと思う。


 でもなー、王様すごく感じが悪かったんだよね・・・。皆が嫌々無理やり戦わされるなんて事にならないと良いんだけど。


 そんな訳でまず、地球へ帰還できるか聞いてもらうと、答えは「同じ場所に戻ることは出来ないだろう」だった。

 地球へ送る事は出来ても、私達が居た全く同じ時や場所の座標が分からないし、そこまで細かい調整は出来ないらしい。

 難しくて良く分からないけど、自分のいた地球じゃないなら、やっぱり私は戻らなくて良いかな。


「皆はもしかしたら違う地球の可能性があっても、同じかもしれない可能性に賭けて帰りたい?」

「「・・・・・・・・・」」


 私の質問に、陽菜ちゃんと優斗君が黙り込む。そうだよね。そんな簡単に決められないよね。

 別に今すぐ決めなきゃいけない訳じゃないと、フォローしようと思った時、それまで考え込んでた大河君が明るく言った。


「俺は冒険してみたい!それにこの世界のどこかで、帰る方法が見つかるかもしれない。帰らないって決めるんじゃなくて、帰れたら帰る!それまでは異世界を楽しみたい!」


 大河君の前向きな言葉に2人も同意した。やっぱり異世界を冒険するって思うと、ワクワクする気持ちは2人もあったみたい。


 みんなの意見が纏まったなら、後は今後についてだよね。何のために勇者召喚したのか。何と戦わせたいのか。それを交渉上手な優斗君に聞いてもらおう。言葉が通じないって不便だな・・・。




 今私達に説明をしてくれているのは、王宮魔法師団のルイス・ムーアさんと、近衛騎士団のアレン・エヴァンスさん。

 ルイスさんはアッシュグリーンの長い髪を結んでいて、柔らかい笑顔で女性のハートを掴みつつ、自分に有利に話を進めていきそうな策士っぽい。詐欺師でいそうな感じ。

 アレンさんはザ・王子様って感じのブロンドヘアに、海みたいに青い目をした爽やかイケメン。

 陽菜ちゃんが見とれちゃってるよ。頑張れ大河君!負けるな優斗君!


 ルイスさん曰く、この世界は剣と魔法で魔物を倒そう!なファンタジー世界。

 勇者召喚の理由については、魔物からこの国シューレ王国を守ってもらう為らしい。


 あれ?何かアレンさんの目が泳いでる。

 なるほど、建前ってとこかな?アレンさんは隠し事が出来ないタイプだね。ふむ。これはきちんと情報収集する必要がありそう。


 とりあえず3人は、この世界の常識とスキルや魔法の使い方を覚えたら、実践でレベル上げをしながら戦い方を学んで行く予定。

 私は会話が出来るように、まずは言葉を覚える所からかな。この世界の常識は3人と一緒に教えてもらおう。


 そして、1番重要なこの世界の食事事情について。

 何と日本食があるらしい!!やったー!

 昔召喚された勇者の中に日本人がいたらしく、日本食を開発してくれたそうです。先輩!開発して頂き、ありがとうございます!


 希望するなら夕食から日本食を提供してくれるそうなので、迷わず全員日本食でお願いしました。ご飯楽しみだな~。

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