第2話 ステータス

 別室にて今の状況の説明と、今後についての話を聞くことになった。

 部屋まで騎士さん方に先導されながら向かってるんだけど、入り組んだ廊下を右に左にととにかく複雑。1人だと絶対迷子になるやつだ。はぐれないように気をつけよう。


 迷子フラグを回収することなく、無事に部屋に着いた頃には、皆が疲労困憊だった。

 勧められた椅子に座って、ホッと一息つく。

 私の隣に女子高生が座ろうとした瞬間、騎士が椅子を引いてあげている。

 ・・・あれ?私には無かったけど、やっぱりあれかな。おばちゃんにはそういうサービスはないのかな。別に良いんだけどね。少しだけ気持ちが荒んじゃうよね。


「※※※※、※※※※※※※※※。※※※※※※※※※※※。」

 はい。言葉が分かりません!

 そんな訳で、高校生組が通訳してくれながら聞いた話をまとめると、どうやら勇者召喚で私達は地球からこの国に召喚(拉致とも言う)されたらしい。


 だけどここで問題が起きた。本来は勇者・賢者・聖女の3人召喚される予定が、来たのは4人。しかも明らかに1人だけ毛色が違うぽっちゃりしたおばさん(私の事)。

それで王様は私に怒鳴り散らしていたらしい。勝手に連れてきておいて酷すぎる。まあ、スルーしてたんだけどね。



 念の為これからステータスを確認してから、今後についての説明をするとの事。ステータスとか、本当にここは異世界なんだな。


「まずは俺から!」


 トップバッターは元気で明るい男子高校生の岡崎 大河君、17歳の高校3年生。2人とは幼なじみらしい。何だか青春の匂いがする。


 大河君が鑑定水晶と呼ばれる物に触ると、強烈な光が部屋中に溢れた。眩しすぎて思わず目を瞑る。有名な映画のセリフを思わず叫びたくなるくらい、眩しくて目が痛かった。


 光が収まった気配を感じ、そっと目を開けると、水晶の上にステータスボードと呼ばれる物が現れていた。

 大河君の職業は予想通り、勇者でした。


「次は僕の鑑定をお願いします。」


 2番手は頼りになるメガネ少年こと、林 優斗君17歳の高校2年生。彼は賢者だった。うん!やっぱりね!


 3番手は美少女女子高生の結城 陽菜ちゃん、16歳の高校2年生。ふんわりしてて本当に可愛い。彼女の職業は聖女。ピッタリだね!


 一応私も鑑定してもらう。

 國枝 桜、38歳独身。人生初のステータス鑑定を受けます!


 3人とも強烈な光が水晶から溢れていたのを見ていた私は、恐る恐る水晶に触ってみる。


 ・・・・・・・・・・・・・・・・・?


 全く光らないし、ステータスボードも出ない。どういう事?


「※※※※!?※※※※※※※※※※※※※※※※※!!!」


 ステータスボードが出ないなんて想定外だったらしく、その場が騒然としている。


 騎士さんが誰かを呼びに行ったかと思うと、何だか偉そうな態度の人を連れて来た。どうやらスキルで人物を鑑定する人らしい。

 しばらく見られた後、鑑定結果が出たのか、「フンっ」って聞こえてきそうな顔をして蔑まれた気がする。イラッ。

 何やら騎士さんに説明し、彼は去っていった。きっと偉い人なんだろうけど、二度とお会いしたくはないな。


 結論として、高校生組は勇者・賢者・聖女として召喚された事が証明されました。私はその召喚に巻き込まれたらしい、ただのステータスもない一般人。

 ステータスがないのは巻き込まれただけのイレギュラーな存在の為、体がこちらの世界に適応する様に変わっていないのだろうとの事。だから私だけ言葉が分からないのかも。


 何だか情報過多で、いっぱいいっぱいだよ・・・。休憩したい。ケーキ食べたい。

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