【100万PV突破★皆様に感謝です!】勇者召喚に巻き込まれたおばちゃんと2匹の異世界冒険記
こころ
第1話 太ったおじさん
今のこの状況は何なんだろう。
広い部屋の中心に描かれた魔法陣っぽい物の周りに、何人もの人が倒れている。
私はその魔法陣の中心にいて、何故か目の前の煌びやかに着飾った太ったおじさんに、知らない言葉で怒鳴られてるっぽい。
「※※※※※※※※※※※※※※※※~~!!!」
そんなに怒鳴ると血管切れそうだけど、大丈夫かな?
そんな事を考えられるくらいに、少し混乱した頭が落ち着いてきた。
状況を把握するために周りを改めて見てみると、私の隣に高校生の男の子2人と女の子が1人いた。
更にその周りを、鎧を着て武装した騎士っぽい人達に囲まれている。
・・・え?コスプレ?それとも本物?
ちょっと待って。本物だったら危ない状況だけど、本当に意味がわからない。
そもそも何でこんな所にいるんだっけ?
今日は久々の休日。お気に入りのパティスリーの絶品ケーキワンホールを堪能する為に、朝から並んでやっと!やっと!!買えた所だったのに。
「はっ!私のケーキはどこ!?(キョロキョロ)あったーーー!!!」
良かったよぅ。せっかく買えた絶品ケーキが無くなってなくて、とりあえず一安心。
「ケーキ・・・?」
隣にいた可愛い女子高生が、驚いたように聞いてきた。そうだった。今は何だか緊迫した状況なんだった。
「そう!朝から並んでやっと買えたケーキが無くなったかと思って焦っちゃった。所でここがどこなのか分かる?」
「気付いたらここにいて・・・。」
「私もだよ。あのおじさんも何言ってるのか全く分からないし、困ったな~。」
「えっ!?」
「えっ?」
また女子高生が驚いた顔で見つめてくる。あれ?何か変なこと言ったかな?
「もしかしてあの人の言葉が通じてないんですか?」
そう言って女子高生が指さすのは、今尚私に向かって怒鳴り続けているおじさん。
「うん。全く意味が分からない。あなたには分かるの?」
まさかのバイリンガル!?若いのに勉強家なのかな。私は日本語しか分からないから尊敬しちゃう。
「僕も分かりますよ。」
「俺も。」
「えっ!?分からないのは私だけなの!?皆凄いね!」
最近の子はグローバルなんだな~。少しは見習わないと。
「あの・・・私達には日本語に聞こえているんですが、もしかして違う言葉に聞こえているんですか?」
衝撃の真実発覚。日本語なのに日本語じゃないって、どういう事なんだろう・・・
あれ?嫌な予感がしてきたよ。
「※※※!!※※※※※※※※※※!!!!!」
おじさんが激昂して何かを叫んだ瞬間、周りを囲む騎士達が一斉に私達に武器を向けてきた。恐いくらい空気がピリピリしてる気がする。どうやらスルーされ過ぎて、おじさん我慢の限界に来たらしい。
「皆近くに来て。何が起こるか分からないから、皆で固まろう。」
私が思わず3人を庇いながら近くへ引っ張る。一斉に襲われたらどうやっても逃げられない。いや、あの太ったおじさんを抑えられれば勝機も出てくるかも。その前に今の運動不足が祟った私の体で、目の前の騎士を一点突破出来るかな。厳しいか・・・。
そんな物騒な事を私が考えていると、眼鏡をかけた利発そうな高校生男子が「まずは現状を把握しましょう。自分が交渉してみます。」と請け負ってくれた。
何て頼りになる子なんだろう。少年よ、ありがとう!言葉が分からない残念な大人(私)の代わりに、どうぞよろしくお願いします!
その後、メガネ少年があっという間に話をまとめ、言葉が分からない私の為に、別室にて説明が行われることになった。
メガネ少年の手腕凄いな。
おじさんはどうやらこの国の王様らしい。退室するまでずっと私を睨み続けていたけど、言葉が分からないんだからスルーしたのも仕方ないと思って欲しいな。
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