第47話 聞きたい事もしたい事も沢山ある。
ここまでルークside
43話〜44話のルーク。
川縁でロティとの愛しい時間をぶち壊すかの様にあの女の召喚獣が現れた。
海に住むはずの魔物であるやつを川に送り込むとはどう言う神経をしているのかまるでわからない。
しかもこんな魔物じゃ俺には太刀打ちできないだろう。
2発魔法を喰らわすと呆気なく召喚獣はぴくりとも動かない丸焦げになった。
(やはり何処かで見ているか…。)
あの女は召喚士だ。他に多少の魔法は使えても然程の威力ではないし、脅威でもない。
気になるのは召喚獣の種類だ。
以前の奴は蛇やら獣やらを召喚していなかった。
アラクネだったり、エキドナだったり。
あの女の好みの見た目で強さもそこそこのやつだった。
美しい物が好きだと散々言っていた割には、見合わない召喚獣達は使い捨てなのだろう。
僅かに召喚獣に情を寄せる。
ロティは丸焦げの召喚獣に近づこうとしたため慌てて止め、顔を顰めた。
もう死んでいるとはいえ、何かあったら俺は耐えらなれない。
俺の言ったことに対して何やら考えるロティの思考がなんとなくわかってしまった。
「ねぇ、私1人ならグニーはきっと」
「囮みたいな真似は絶対にさせないからな?」
やはりな。
囮なんかさせるわけもないのでそういうことを考えるのをやめてもらいたい。
俺はロティを連れて近づき、魔法鞄に丸焦げの召喚獣をしまった。
俺の事をじっと見ていたのかロティと目が合う。
先程の質問ついでにきちんと話しておこう。
なるべく優しめに穏やかに。
「何のために100年以上働いたかの質問に答えてなかったな。それは今度こそロティをドロドロに甘やかしたいからに決まっているだろう?
それなのに囮なんかいいと言うはずもない。
ロティが冒険者をまだしたいか聞いたのは少なからずロティはパーティで嫌な思いをしたり、タリスの息子みたいなのもいるのに不快ではないかと聞きたかったんだ。
だがロティは俺と色んな事を一緒に出来たら嬉しいと言ってくれた。
俺はロティにもらってばかりで返せていないんだ。俺から与えるものは拒まないでくれるとありがたい。」
ロティの頬を手で包むと、無意識に手に擦り寄るロティが可愛くて耐え切れずキスしてしまった。
それと同時に嫌な魔力の気配を感じたためキスしながらも転移魔法を発動させた。
あの女がどこかで見ているなら、この様子も見ればいいとさえ思う。俺にはロティしかいないのだからさっさと諦めればいい。
◇◇◇
ロティに一息つかせたくて紅茶を入れようとすると自分が入れたいと話し、さらには料理まで作ってくれると言ってくれた。
100年以上ぶりのロティの手料理にかなり期待して喜んでしまう。俺よりは遥かに上手いし、なにより俺にまた作ってくれるのが嬉しい。
入れてくれた紅茶も少し入れ方が違うのかより美味しく感じる。
どれほど表情に出ていたか、自分ではわからなかったがロティに表情を指摘され、驚いてしまった。
こんな穏やかにロティと過ごせていることが嬉しい。
(この時間を待っていた。こんな時間が続けばいい…。)
俺は飲み終えたカップを置きソファにもたれかかった。
まだ大事そうに後少しの紅茶を飲むロティを見つめる。
あの女さえなんとかすれば、自由にすごせるのではないか?俺が不老不死のままロティが年老いてまた転生するのを待つのもありなのか?
それよりはロティ自身記憶が戻ったら俺と同じ様に呪いを掛ければ永遠に一緒にいることができる?
さすがに言う事を憚ってしまう妄想は静かに心の隅に留めた。
考え事をする俺にロティがどうしたのか尋ねてきた。
俺は今後の事についてを考えていると少し誤魔化しながらも、本当の今後についてをロティと話す。
あの女を始末してから冒険をすること。
呪いは記憶が戻って解術が使えそうなら。
呪いの事よりは早く記憶が戻って欲しい。
俺を全て思い出して欲しい。
誓いを立て、ロティを早く俺のものにできれば…。
俺の足りないロティを埋める事ができる気がする。
早く思い出したいと言うロティはどこか祈る様に目を閉じ手を組んだ。
◇◇◇
今から料理を作ってくれると言うことで、柄にもなく落ち着かなくなってしまう。
エプロンをつけて、髪を結っているロティもまた新鮮で可愛いと思いつつ、もらった野菜と使えそうなら食材、調味料をありったけ魔法鞄から出す。
何の肉かもわからない肉を出した時には、一瞬ロティの顔が引き攣ったがその肉を見つめると、ホッとして大丈夫と言っていたので良しとしたい。
ソファに座ってていいと言われたが、手伝っては駄目なのか、近くで見ていては駄目なのかと何度もロティを見てしまう。
そんな俺を見てロティは少し呆れた顔で言う。
「ルーク、その魔法鞄の中に入ってる物は把握してるの?」
「…。してない。」
(何でも入るから今まで一度も整理していないとは言いにくい。)
怒られると思い気不味くなってしまった俺にロティは明るい口調で言う。
「食事できるまで時間があるから少し鞄の中整理するといいよ。ね?」
「…わかった。そうする。ここでは大きさ的に出せないものもあるから外に行ってくる。」
ここに居てはロティも俺も集中出来ないだろう。
ロティに甘えて少し整理しようと素直に応じた。
もしかしたら忘れているなんかいい物も出てくるかもしれない。
立ち上がり、ロティのそばを通ると笑顔で
「行ってらっしゃい。」と言ってくれた。
その姿は新婚の様で、色んな妄想を掻き立ててしまった。
またキスをしたくなったが、グッと堪えて行ってきますと共に外に出た。
とりあえず言われた通りに鞄の中の整理整頓を始めた。
◇◇◇
ロティの料理は前世より格段に腕が上がっていた。
嬉しくて、美味しくてついつい夢中で食べてしまう。
やはり俺と会わない期間に誰かに教わったりしたのだろうか。それとも誰かに作りたくて学んだ?
寝る前にでも俺と会わなかった期間の事をじっくりと聴きたい。
歳の話になるとロティは俺との歳の差をあまり気にしていない様だ。
俺もロティが後10歳若かったりしたら流石にまずいし、成長するまで見守るが、成人を超えているなら大丈夫だろうと自分に言い聞かせた。
成人の話からからお酒の話になると飲まされたことがあると言われ、一気にロティに酒を飲ませたやつに苛立ちを覚えた。
だがロティは水を飲まされていたのではないかと言うほど酔いもしなかったらしい。
もしかすると酒屋の主人が阻止してロティに水を出していたんだろうか?
今となってはわからない。
俺も酒の強さは人並みだし、今度ロティと一緒に飲んでみてロティの酒量を見てみたい。
「あまり人前では飲まないな。飲んでも3.4杯かな。その程度なら酔わないし、人前で飲むなら嗜む程度だ。前世もその前も2人で飲んだことがないから、ロティが良いなら今度ここで一緒に飲もうか?」
「ルークとなら酔っても安心だしいいねぇ。」
「…。」
酔ったロティを想像しただけで理性がぐらついてしまったなんて言えない。
まだ神に誓いを立てていない、記憶が戻るまでは我慢、する。つもりだ。
「酔った勢いは…多分…ない…。」
顔を隠す様に口元に手を当て、小さな声で発したからかロティはそれは聞こえていない様子で、サンドウィッチを幸せそうに頬張っていた。
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