第3話

 部屋に帰ったら。

 彼女がいた。服を着てない。

 眉間のしわ。そんなに寄ってない。落ち着いてるのだろうか。


「なんで、ここに?」


 さすがに、訊いた。

 部屋に帰ったら、いるとか。わけがわからん。


「私の部屋だから」


「は?」


 彼女が、服を探しはじめる。

 家具。

 いや、自分の部屋のものだ。

 ここは自分の部屋。


「部屋番号は?」


 訊いてみる。彼女が、部屋番号を言う。


「隣だな」


「うそ」


 彼女。

 部屋を出ていこうとしたので、ひきとめる。


「なにするの」


「そっちこそ」


「部屋番号見るの。はなして」


「いや、何も着ないで外に出るの?」


「あ」


 彼女。

 服を着ていないことに、ようやく気付く。


「失礼しました」


 彼女が、部屋着に着替える。

 いや俺の部屋着。俺のなんですけどそれ。


 彼女が、部屋を出ていった。


 ちょっとだけ。

 彼女の、残り香。

 いい匂いがする。


「いや俺のシャンプーの匂いじゃん」


 彼女。俺の部屋の風呂入っていったじゃん。

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