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「もう、終わりにしよう」


「…今、何て言ったの?」


あの日、線香花火の青い光で照らされた、君の涙に気付いた時、不謹慎にも、綺麗だと思ってしまった。


雨で滲んでしまう紅紫陽花より、


艶やかに濡れる、青紫陽花に魅力を感じる様に、


哀しみの中に、君の美しさを見出してしまった。


それは、五月雨のせいだと思いたかった。


あの緑緑しい香りと、海の香りが混ざって、私の心が馬鹿になったせいに違いないと、


そう、信じたかった。


だって、可笑しいだろう?


隣で、君が笑う度に、心の奥が痛くなって、


記憶の中の、雨と涙で濡れた、青い君の姿が鮮明になっていく、なんて事。


あの日、泣いていた事を、君は話さなかったし、私も触れなかった。


それで良かったはずなのに、心の中では、名前も知らない誰かの為に流した、君の涙を、羨ましいと思っていた。

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