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「花火がしたいって連絡寄越してきたのは君だろ」
「言ったけどさぁ。普通は手持ち花火とかでしょ。線香花火とか地味すぎるよ」
「風情があっていいじゃないか。此処だって、綺麗な紫陽花が見れる、この辺りじゃ珍しい公園なんだ。海だって近くに見えるだろ」
「せっかく海が近くにあるんだから、そっち行けばいいじゃん。紫陽花って、陰鬱でジメジメしてて、何か嫌」
苛立ちながら、不満を捲し立てる女の手元が激しく揺れ、線香花火の光が、虚しく落ちた。
「あぁ、だから嫌いなのよ。地味なくせに繊細で。いらいらする」
「………」
色彩豊かで、目を惹く紫陽花。
青色だけじゃ、物足りない。
そう思って、華々しい、薄紅色の花を求めた。
その筈なのに。
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