ヒャッハー!焼き鳥の時間だ!

西城文岳

本編


 諸君、火炎放射器はいいぞ。


 油と空圧式ポンプを燃料に、火元にライター。作るのに苦労したが狭い洞窟では自分に燃え移る事だけに気を付ければ最強の制圧力を持つ。

 一列に並んだ全員に火を撒ける。


 この剣と魔法の異世界で剣よりも射程が長く、物理攻撃故に魔法耐性ガン無視だ。

 火属性耐性がある奴には効かないが燃料を液体窒素や異世界特有の毒による属性の変更もできる。欠点は燃料の調達が難しい点だが。


 そんな中俺は今、アリーナの中心で、俺は火炎放射器を構える。

 

『今回の戦士は獄炎の魔術師!このアリーナのオーナー!彼愛用の新兵器は幾度となく彼の命を救った相棒!奇怪な見た目からは想像出来ない破壊力!さぁ今回の獲物はコカトリス!デカいだけの鶏と侮るなかれ!高い生命力にその足細いからは信じられない機動力!新米冒険者は目を付けられれば逃げられない!さぁどう戦うか見せていくれ!』


「ヒャッハー!焼き鳥の時間だー!」


 周囲から歓声が上がりアリーナのゲートからは大量のコカトリスが放たれる。一直線に向かい走ってくるでかい鶏どもにノズルから放たれる炎は鶏どもの体を撫でるように覆って行く。


『迫りくるコカトリスの群れに真正面から炎が迫る!』


 アリーナの実況が観客席に響く。

 だが、流石は異世界。炎の中から丸焦げの一匹が倒れてくるが。その後ろの鶏どもはまだ元気に走ってくる。


 すかさず、腰に付けたレバーの一つを下す。

 背中の三つ燃料タンクの一つから地面に向かい炎が吹き上げ、ロケットように俺の体を宙に打ち上げる。


「死ね!飛べない焼き鳥めが!」


 上からの炎のは防ぎようが無い。そのまま纏めて焼き払う。


 それでも最後尾にいた奴は火が通りきらなかったのかまだ元気だ。

 倒れた仲間をかき分け最後の一匹が翼を広げて走ってくる。

 今から走ってもその体当たりは避けれないだろう。

 今、火を噴きかけても火達磨のままで自分に衝突するだろう。


 ならやることは一つ。


 姿勢を前に倒し、背中のタンクについているピンを引き抜いてレバーを下す。

 俺の背中からにタンクが発射され、一直線に鶏に衝突。赤い爆炎が鶏の頭部を吹き飛ばす。


 強力な爆風が巨体を止めるには十分だ衝撃だった。

 

『勝者は獄炎の魔術師だ!たった一人でコカトリスの群れを殲滅!その火力は圧倒的だー!』




「で今日の売上は?」

「観客席は満席、コカトリスの肉は料理人に回して今日の時点で半分程売れました。モンスターの肉をそのまま調理して出すことで死体の処理代を客が買ってくれるんで安上がりですよ」

「毒使いだけは闘技場に入れるときは俺に連絡よこせよ。肉が食えんくなる」

「わかってますよ、オーナー」


 闘技場というのは娯楽だ。いずれこの火炎放射器の実演での売上は落ちるだろう。だがそれまでにこの兵器を広めてやるんだ。それが俺のロマンだ。


「で?オーナー。次のビジネスは?」

「下水のスライム駆除だな」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

ヒャッハー!焼き鳥の時間だ! 西城文岳 @NishishiroBunngaku

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ