第二服 同乳連枝(肆)
そもそも
当時、まだ納屋衆に名を連ねていなかった
このことで、
三好之秀とはそれ以来のつきあいであり、
「これからな、讃岐の
十河氏は古代に讃岐に下向した
「ほう、十河殿と申しますと、
商売のネタになりそうなことであれば、聞き逃すまいと、心の居住まいを正した。
「いや、あそこに若いのがいてな。長基さまの小姓にどうであろうかと思っての」
十河存景には金光丸という十二歳になる男子があった。中立を保つ十河に阿波から楔を打つことで、畿内への進出を容易くしたい意図が明らかである。東讃の最西部に三好の影響が及べば、摂津との経路が一つではなくなり、孤立する危険性が減るのだ。
四国から畿内へと手をのばすには淡路だけの経路では心許ない。最短経路の淡路以外にも補給路や退路は確保しておかねばならぬ。また、軍勢を養う拠点となる摂津にも近い東讃は抑えておきたい重要な土地である。
「なぁるほど、これはなかなかの買い物ですな」
十河氏は植田氏の中でも庶流であり、
「ふぉっふぉっふぉっふぉ、そうであろう、そうであろう」
大仰に頷き返す三好之秀。
現在、阿波に
その一方で、長基も調略の手を讃岐に伸ばし、同族の伊予の久米氏にも阿波への移住を呼び掛けているのであろう。ここで十河氏が三好に通じれば安富氏を三好氏の下風に置けるのだ。
「そうなりますと、土産が要りますな?」
にっこりと人好きのする笑顔で商売人の顔となった
「それよ、それ!
「いつも千屋をご贔屓にありがとうございます」
さらに高笑いをする之秀に顔を上げた
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