第五百六十二話 空と狐とアイスクリーム③

「僕はシャーリィと居るだけで、充分嬉しいよ」


「ほ、本当か? ペロって出来なくても、クーを喜ばせられてるのか!?」


 と、言ってくるのはシャーリィだ。

 空はそんな彼女へと、言葉を続ける。


「当り前だよ。シャーリィが傍に居ると、なんだかとっても落ち着く。一緒に冒険してる時とかは、背中を任せられるくらい頼りになる……うん、シャーリィはかけがえのない存在だよ、僕にとって」


「~~~~~~~~~っ!」


 と、狐尻尾をふりふり。

 狐耳をピコピコし始めるシャーリィ。

 彼女は自らの頬に手を当て、その場でぴょこぴょこ空へと言ってくる。



「な、なんだかカーってする! なんだか身体がホカホカだ!」


「えと、大丈夫?」


「わ、わからない! でもでも、クーの声を聞いたらまたホカホカしてきた! うぅ……むずむずもする! クーが好きな気持ちが、溢れだしてる感じがするんだ!」


「ちょ――」


 さすがに大勢の前で、そういうことを言われると照れる。

 しかし。


(まぁ、シャーリィがいいならいいかな……それに)


 あたふた。

 ふりふりぴこぴこ。

 

 こうして。

 あわあわしているシャーリィを見ているのは、クーとしても悪い気分ではない。


(なんというか、小動物みたいな可愛らしさがあるんだよね)


 と、空がそんな事を考えていると。


「あ、クーが笑ってる!」


 言ってくるシャーリィ。

 彼女はニコッと、笑顔で言葉を続けてくるのだった。


「クーも笑顔でシャーリィも笑顔! お揃いだ!」

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