第三百十二話 空と特殊任務③
「あの、離島とか特殊任務って何ですか? 話がいまいち掴めないんですけど」
「あぁ、すまない。そうだったね、話が盛り上がると周りが見えなくなるのは年寄りの悪い癖だ」
と、苦笑しながら言ってくる初老の男性。
彼は空達へ何枚かの資料を渡しながら、言葉を続けてくる。
「最近、怪人の出現頻度が高まっていることは知っているね?」
「はい、ニュースでも言っていますし、学生ヒーローとして活動していて実感しました」
「よろしい。そこでその資料なのだが、要点だけ言うと――東京湾上にある離島の一つが、怪人に占拠されていることが判明した」
「えっと」
空はそういう展開をアニメなどで散々みてきた。
よくある展開である。
つまり。
「それって前線基地みたいなやつってことですか?」
「まさにその通りだ。奴らの目的はなにかわからない。しかし、その前線基地が発見された前後から、怪人が大量発生している」
と、苦々しい表情の初老の男性。
空は資料を何枚か見たのち、そんな彼へと言う。
「たしかに、それなら因果関係があるって考えるのは普通だと思います。ちなみにこの特殊任務は、いつ実行されるんですか?」
「まぁまぁ、待ちたまえ。今の発言でキミの正義の心が燃え盛っているのは理解できた。けれど、まだ梓くんと一色くんたちの個別の答を聞いていない。彼等はキミと違って学生ヒーローなのだから、無理強いするわけには――」
「あたしは参加するわ! 空が参加するなら、あたしだって参加するんだから!」
「私だけ行かないなんて論外。当然参加させてもらうわぁ」
と、初老の男性に対し順に言うのは胡桃と氷菓である。
空は彼女達の言葉を聞いたのち、初老の男性へと言うのだった。
「それで、特殊任務はいつ実行するんですか?」
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