第三百十三話 空とレベルアップと……
時は空のプロヒーロー入りの翌日。
場所は異世界 『ファルネール』、冒険者ギルド。
「あ、レベル5になってる、やった!」
「クウさん……いい加減にしてくださいよ」
と、ぷるぷる震えているのは受付のお姉さんである。
彼女はバンバンカウンターを叩きながら、空へと続けてくる。
「どうしてそんなにバンバンレベルが上がるんですか!? いや、嬉しいですけど、嬉しいですけど!」
「なるほど、今のって『カウンターをバンバン叩く』と『レベルがバンバン上がる』をかけたんですね? あはは、面白いですね!」
「あ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~っ! 今の気持ちをどう表現すれば~~~~~~~~~~っ!」
「?」
空が何やら悶絶しているお姉さんを見ていると。
「クーーーーーーーーーーーーーっ!」
「お使いが終わりました! 喜んでもらえるといいのですが」
聞こえてくるシャーリィとリーシャの声。
彼女達は空のそれぞれの腕にひしっと抱き着いてくると、順に言葉を続けてくる。
「クー……やっぱりいい匂いだ! 優しくて美味しそうで、シャーリィはこの匂いがすごく好きなんだ!」
「クウ様、わたしもクウ様の匂いが大好きです。とても落ち着いて、わたしがクウ様で染められていく感じがして、とても……とても好きです。好きなんです……クウ、様」
「なるほど」
と、カウンター越しに聞こえてくるお姉さんの声。
彼女の声は――
「英雄色を好むとは、まさにこのことですね」
何故か凄まじい寒気を、空に巻き起こしたのだった。
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