第三百六話 空と学生ヒーローの日常②

 時は時雨来襲から数分後。

 場所は変わらず風紀委員室。


「これでようやく落ち着きましたね」

 

 と、言ってくるのは時雨である。

 空はそんな彼女へと、思わず言う。


「いや、これのどこが落ち着いてるの!?」


 現在、空の状態は酷いことになっていた。

 簡潔に言うならば椅子取りゲーム状態だ。

 つまり。


 中央に空が座る椅子。

 それを囲むように、胡桃、時雨、そして氷菓の椅子が配置されているのだ。

 当然、三人の椅子は空の方を向いている。


 落ち着くわけがない。

 というか。


「せめて机を使おうよ! これじゃあプリントとかに書き込むときに、すごい書き込みづらいよね!?」


「はぁ? そんなのおまえに押し付けてかけばいいじゃない」


 どこかのアントワネットみたいなことを言いだした氷菓。

 空はそれを聞いて確信した。


(うん……やっぱり余計なことは言わないほうがよさそうだよね、これ)


 軽く言っただけで、凄まじい可能性――空が彼女達の机になる未来が産まれたのだから。

 空が今するべき最善は、とりあえず話を進める事だ。

 故に、空は時雨へと気になっていた事を問うのだった。


「そういえば時雨、さっき事件って言ってなかった?」

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