第二百八十三話 空と氷菓と狐娘②

「ぐふっ!?」


 シャーリィによる腹部へのタックルにより、思わず漏れる声。

 空はこの時思ったのだった。


(開けたら閉めるって大事だな……)


 しばらくしたらまた使うから、開きっぱなししておこう。

 そんな気持ちでゲートを開いていたらこのざまだ。

 だが、真の問題は腹部にタックル喰らって、吐きそうになったことではない。


「クーの安心する香りがしたから、来ちゃったぞ!」


 と、空の胸元に顔をこすりこすりしてくるシャーリィ。

 彼女は次に周囲をきょろきょろすると、空へと言ってくる。


「クー! 大変だ! ここクーの部屋じゃない! シグレから外に出ちゃいけないって言われてたのに!」


「あーうん、まぁそのことなんだけど……今回は僕が悪かった面もあるし」


 それに今は周りに氷菓以外誰もいない。

 時刻が時刻なので、今後も他の生徒がやってくる可能性は低いに違いない。

 と、空がそんな事を考えていると。


「これは……怪人? いえ、空の話から考えるに、これが異世界の住人かしらぁ?」


 聞こえてくるのは、察しのいい氷菓の声。

 彼女「とりあえず」と一言、空とシャーリィを引き離してくる。

 そして、彼女は空へと言ってくるのだった。


「こいつはおまえの何なのかしらぁ?」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る