第二百二十六話 空と仲間は希望になってみた

 鳴りやまぬ勇者コール。

 響き渡るクルミ、シャーリィコール。


 そんなバルコニーでの出来事から数時間後、時刻はすっかり夜。

 現在、空は城にある大きな客室――そのベッドの上にて一人寝転がっていた。


「…………」


 正直落ち着かない。


 空達は勇者一行故、この待遇が相応しい。

 王様からはそう言われているが、空一人に対して部屋が豪華アンド広すぎるのだ。

 おまけに天井にはシャンデリアまでぶら下がっている。


(シャーリィはなんだかんだ疲れてたのか、自分の部屋に案内された途端に寝ちゃったし。胡桃は城を見て回りたいって、どっか行っちゃったし)


 こんなことならば、胡桃と一緒に城を見て回りに行けばよかった。

 なんせ、彼女は空のこともしっかり誘ってきてくれたのだから。


(まさか布団に入った途端に眠れなくなるなんて)


 結果がこのざまである。

 空はもう眠る事を諦め、落とし切りのスマホゲームをしているというわけだ。

 と、その時。


「あ、あのクウ様! よろしいでしょうか?」


 ノックの音と共に聞こえてくるリーシャの声。


 こんな時間になんだろう。

 空は一瞬疑問に思うが、すぐに身を起こし。


「大丈夫、空いてるから入っていいよ」


 リーシャにそう言うのだった。

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