第百五十話 空と胡桃とヒーロー見参②

「その悪行、この私が許さない!」


 と、怪人に言うのは、身長二メートルはあるがたいのいい男である。

 彼は更に続けて怪人へ言う。


「今日はオフの日だが、私がここに居たのが運の尽きだったな!」


「ぐはははははっ! 誰だ貴様は!? このボーガンから砲丸投げの真理を教わりに来たのか!」


 と、怪人はそこでピッチャーの様な構えをし。


「見ろ、これが砲丸投げだ!」


 言って、砲丸を男へと投げつける。

 砲丸は凄まじい勢いのため、当たればただでは済まないに違いない。

 だが。


「ふんっ!」


 男は飛んできた砲丸を片手で受け止める。

 そして、それを握りしめながら怪人へと言う。


「それは砲丸投げではない! 投げ方も何もかもが違う! 怪人よ、お前は間違っている!」


「な、なに!? 俺様が間違っているだと!?」


「そうだ! それを……愛を持って、私が教えよう!」


 と、男は突如全身に力を込め始める。

 そして。


「はぁあああああああああああああああ……っ、爆散!」


 男がそう言った瞬間、握られた砲丸が粉々に砕け散る。

 それだけではない。


 男の身体が怪人に匹敵するほどに盛り上がったのだ。

 空はその異能を知っている――あの異能を持つ者の名は。


「私の名は筋肉! 筋肉は私! そう、筋肉ヒーロー『マッスル』! ここに見参!」

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