第百四十八話 空と胡桃は少し休憩してみる

 時はあれから数十分後。

 現在、空と胡桃は大量の買い物袋と共に、ショッピングモール内の喫茶店の一角に居た。


「~~~♪」


 と、パンケーキをパクパクご満悦そうなのは胡桃である。

 彼女はもう一口、パンケーキを食べたのち空へと言ってくる。


「ねぇ空、本当に奢ってもらっちゃっていいの?」


「別に大丈夫。それより今はしっかり味わってよ。胡桃、このパンケーキ楽しみにしてたんでしょ?」


「え……な、なんで知ってるのよ!」


「いや、パンケーキ待ってる間、あれだけ熱弁されたら誰でも気がつくよ」


「ふ、ふん! なによ! あんただって、パンケーキ待ってるときにずっとそわそわしてたじゃないのよ!」


 たしかに、胡桃の言う通りだ。

 けれど、空は別にパンケーキが早く食べたくて、そわそわしていたわけではない。

 というのも。


(この喫茶店、女の子の比率高すぎでしょ……すごい落ち着かないんだよね)


 もちろん、男性も居るには居る。

 居るには居るのだが、全員がもれなくカップルだ。

 普通に「あーん」とかしたりさせたり、口を拭いてあげたりしている。 

 と、空はここで重大なことに気が付く。


(あれ、僕と胡桃もそんなような事を学食でした気が――)


「ねぇ、空!」


 と、空の思考を断ち切る様に聞こえてくる胡桃の声。

 彼女は続けて言ってくるのだった。


「なんかあの人様子が……まさか、怪人っ!」

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