第百三十六話 空と胡桃の秘策・続②
「き、来たわ! ゴブリンよ! 手、離したら許さないんだからね!」
そんな胡桃の声。
空はそんな彼女へと言う。
「手、やっぱり震えてるけど、大丈夫?」
「だ、大丈夫……だから、強く握って、お願い」
と、言ってくる胡桃の顔は蒼白だ。
いますぐにでも止めた方が言いに違いない。
けれど、胡桃はヒーローになるために頑張っているのだ。
空としてはそれを無駄にはしたくない。
(それにこの距離なら、何が起きても僕が胡桃を守れる)
となればすることは一つ。
空は「わかった」と一言、胡桃の手を強く握る。
そうこうしている間にも、ゴブリンは空と胡桃を見つけたに違いない。
奴は武器を振り上げ、どんどんこちらに迫って来る。
「っ……い、イージス!」
と、胡桃はゴブリンへ攻撃をしかけようとする。
だが。
「え、うそ……は、発動しない!? なんで!?」
焦る胡桃。
彼女は何度もゴブリンへ攻撃モーションを取り続ける。
空はそんな彼女へ言う。
「胡桃、落ち着いて。大丈夫だから、何かあっても僕が守るから」
「く、くう……?」
「胡桃は僕なんかより才能があって、異能も人を守るための力で、僕なんかよりずっとヒーローに向いてる」
だから、怖がる必要などないのだ。
空はそんな意味を込め、再び胡桃の手を握る。
すると。
「空……ありがとう」
と、思わず見惚れてしまうような笑顔を浮かべる胡桃。
その直後。
ゴブリンは空と胡桃の方へ、飛びかかり攻撃を仕掛けてくる。
けれど、その攻撃は二人へは届かなかった。
理由は簡単だ。
「『イージス』」
と、胡桃がノールックで不可視の盾を発動させたからだ。
ゴブリンはその盾にぶち当たり、地面へと落ちる。
その後、胡桃はそんなゴブリンを見ながら。
「あんたになんかに負けない……あたしの経験値になりなさいよね!」
今度こそ『イージス』による攻撃を繰り出すのだった。
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