第百三十五話 空と胡桃の秘策・続
「クルミずるい! シャーリィもやりたい!」
と、言ってくるのはシャーリィである。
彼女は自らの尻尾をもふもふ、納得いかなそうである。
さて、シャーリィが膨れっつらな理由は簡単。
それは現在の空と胡桃の状況にある。
『あたしの秘策は、戦っている最中あんたの手を握ってることなんだから!』
先ほど、胡桃が空へと手を差し出しながら言ってきた言葉である。
ようするに現在、空は胡桃と手を繋いでいるというわけだ。
いったいどうしてこんなことになったのか。
これとトラウマ克服になんの因果があるのか。
と、空がそんな事を考えていると。
「多分だけど、あたしはあんたが傍に居るって、強く認識できれば戦えるわ!」
言ってくる胡桃。
空はそんな彼女へと言う。
「えっと……それってつまり、どういうこと? やっぱりわからないんだけど」
「ほんっと鈍いわね! あんたと一緒なら魔物や怪人が怖くない、安心できる。そう言ってるってことはどういう事か、少しは自分で考えなさいよね!」
「そう言われても……」
妥当な理由としては空が強いからだ。
やはりレベル4の空が近くに居れば、安心できるという意味に違いない。
(でも、それだと手を繋がなくてもいいんじゃないかな。胡桃は僕のこと嫌いみたいだし手を繋ぐのとか嫌がりそうなものだけど)
と、空がそんなことを考えている間にも。
「き、来たわ! ゴブリンよ! 手、離したら許さないんだからね!」
胡桃は言って、空の手を強く握って来るのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます