第百二十五話 空は副産物について知ってみる②

「この成長速度はいよいよおかしいですよ! クウさん、いったい何を相手に戦っているんですか!?」


 と、言ってくるのはお姉さんである。

 彼女はキラキラと眩しい視線を空に向けてきているが……。


(うーん、特に変わったことはしてないんだけどな)


 けれど、空としても今回のレベルアップには違和感を覚えている。

 レベル2からレベル3に上がった時間と比較すると、さすがに早すぎる。


(それになにより、レベル3からレベル4に上がるまでに、僕はそんなに魔物と戦ってないんだよね。サボっていたわけじゃないけど、機会がなかったというか……)


 謎は深まるばかりだ。

 けれど、それでも無理矢理考えるのならば。


(まさか……怪人?)


 レベル3からレベル4になるまでの期間。

 これまでと違った事を考えるならば、それしかない。


 空は生まれて初めて怪人と戦い、それを多数打倒した。


(怪人にも経験値があるのか? 地球固有の存在なのに? でもそれしかないよね……タイミング的に)


 怪人が某RPGゲームの銀色ゲルみたいに、膨大な経験値を有している。

 そして、空はそれを一気に沢山倒した。

 それ故のレベルアップ。


 こう考えるのならば、全てに辻褄がつく。

 と、空がそんな事を考えていたその時。


「ちょっといいか、兄ちゃん? 俺は傭兵団をやってるんだが……突然だが、入っちゃくれねぇか?」


「いや、ちょっと待った。どうせ入るならウチの傭兵団に入った方がいい」


「いやいや、傭兵団なんて古い! ってわけで、俺と固定パーティ組まねぇか!?」


 などなど。

 押し寄せる人人人。

 聞こえてくる声声声。


 空は気がつけば大量の人に囲まれていたのだった。

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