第百二十四話 空は副産物について知ってみる

 時はあれから数十分後。

 場所は冒険者ギルド。


 現在、空はいつもの受付のお姉さんの下へとやってきていた。

 なお、胡桃は別の受付で絶賛冒険者の登録中である。

 とまぁ、それはいいのだが……。


「く、クウさん……なんですか、これ」


 と、言ってくるのはお姉さんである。

 彼女は空の冒険者カードを見ながら身体をぷるぷるさせている。

 空はそんな彼女へと言う。


「えっと、どうかしたんですか? ひょっとして、冒険者カードの更新に失敗したとか?」


「違いますよ! 見てくださいよこれ! クウさん、しっかりと見てみてくださいよ!」


 と、お姉さんは空へと空の冒険者カードを見せてくる。

 するとそこに書かれていたのは。


●冒険者クウ ジョブ:なし レベル4

保有スキル一覧:剣技『一閃』。拳技『破砕』。拳技『穿』。魔法『ファイア』。魔法『ブラックスミス』。魔眼『王の左目』。


「あ、レベル4になってる! やった!」


「あ、レベル4になってる! やった! ……じゃないですよ!」


 と、受付カウンターをバンバン叩いて来るお姉さん。

 まるで胡桃のようなテンション……相当興奮しているに違いない。

 そんなお姉さんは更に続けて、空へと言ってくるのだった。


「この成長速度はいよいよおかしいですよ! クウさん、いったい何を相手に戦っているんですか!?」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る